21.ゴルゴーンの里1
メデューサの案内によって辿り着いたゴルゴーンの集落は森の奥にあった。何人ものゴルゴーン達が集落の中を歩いている。髪の毛が蛇のような状態のゴルゴーンと、人のような髪の毛のゴルゴーンがいる。髪の毛が蛇の状態のゴルゴーンはあまり多くないようだ。そして、おそらく彼女たちの家なのだろう。集落のあちこちに穴倉が掘られている。
「髪が蛇のゴルゴーンと、人の姿のゴルゴーンがいるんだね。何が違うんだ?」
「僕たちゴルゴーンは気分で外見を変えるんだ。髪の毛が蛇の状態はちょっと緊張していたり、気が立っていて、髪の毛が人と同じ状態の時は落ち着いているよ。頭が蛇の時はあんまり話しかけないでねっていう暗黙の了解みたいなものだね。ああ、でも親しい人には話を聞いてもらいたかったりするから一概には言えないんだけどね」
「へえー、初めて知ったよ。ありがとう」
俺の疑問にメデューサが答える。なんというかメンヘラみたいでめんどくさいなぁ……などと俺が思っていると、ペルセウスが嬉しそうな声を上げた。
「なるほど、私と一緒の時に常に髪の毛が人と同じなのはリラックスしているということだな!!」
「べ、べつにそんなんじゃないんだからね!! 君の外見をあわせてあげているだけだよ。勘違いしないでほしいな!!」
「いちゃつくのは後にしてくれないかなぁ……」
なんかまた二人の夫婦漫才のようなものが始まってしまった。俺は何を見せられているのだろう……いや、ペルセウスの姿は見えないんだけど。彼の言葉にメデューサが顔を真っ赤にしているのをみて恋人っていいなぁと思ってしまった。
『まあまあ、嫉妬しないの。シオンにも来世ではいい人がみつかるって』
「できれば、もっと早く欲しいんだけどね!!」
『まあ、その鈍感さを治さないと無理じゃないかな……? それよりゴルゴーンの里は楽しみにだねぇ、ほらあの子可愛くない? イッツァハーレム!!』
「一歩間違えたら石像だけどね……」
俺がげんなりとしていると甲冑の間からライムが口をはさむ。ちなみにライムが甲冑の中にいる間は彼も姿が透明になるようだ。少しでも甲冑から出るとスライムが宙に浮いているシュールな光景がみれる。夜中にみたらトラウマになりそうである。
なにやら一人のゴルゴーンが近づいてきた。もう喋らない方がいいだろう。
「あら、メデューサ。何を一人でぶつぶつ呟いているの? やっぱりエウリュアレが心配で頭が……」
メデューサが心配そうな顔のゴルゴーンに声をかけられた。そうだよね、俺達は透明だからはたからみたら一人で喋っているやべーやつなんだよね。
「待って!? 僕は正常だよ!! それよりも里に変わったことはなかった? 近くに怪しい人間がいたとか、誰かが里の外に出て帰ってこないとか」
「いや、何にもないわね……今はステンノ様の命令で不要不急の外出は禁止されているし、里の近くの見回りの者からもそう言った報告はないわ……大体、この里の場所を人間が知っているはずないもの……エウリュアレがさらわれたのも、どうせ、物々交換をした時に騙されたのよ!! そうでもなければ私達ゴルゴーンが、人間になんて劣るはずがないもの」
そういうとメデューサと話していたゴルゴーンの髪の毛が蛇と化す。当たり前だが人間は相当恨まれているようだ。万が一俺たちが潜入しているのがばれたらどうなるか想像もしたくない。
「あんたも、以前に人間に助けられたって言ってたわよね? だからって心を許しちゃだめよ。人間なんて信用できないんだから」
「うん、気を付けるよ。ちなみにこの里に潜入している人間を見つけたらどうする?」
「そうね……子種だけはもらって、嬲り殺しましょうか。ああ、でも顔が美しかったら石像にしてもいいわね。まあ、ここに人間が来ることなんてないでしょうけど」
すっごい怖いことを言ってゴルゴーンは去って行ってしまった。俺達見つかったらやばいね。それにしても助けた人間って……
「貴公の想像の通りだ。私は彼女に助けられたのだよ」
「違うよ、先に助けられたのは僕だよ。僕がマタンゴの毒になんてやられてなければ……」
そういうとメデューサは悔しそうに目を落とした。彼女たちの話によると、マタンゴに襲われていたメデューサをペルセウスが助けたらしい。マタンゴを倒したペルセウスだったが、マタンゴの毒によって混乱状態に陥り、ペルセウスを噛んでしまったらしい。そして、正気に戻った彼女は毒が回ったペルセウスのために自分の血を与えたそうだ。
「へぇ、ペルセウスやるね」
「そりゃあ、可愛らしい女の子がいたら助けるに決まっているだろう?」
「その時の僕は髪の毛が蛇だったんだけど……」
「ああ、その状態も人の姿とは違う可愛らしさがあって私は好きだぞ」
ペルセウスの言葉にメデューサは何やら顔を赤くしてそっぽを向いた。うわぁ……また、甘い空気が流れそうだ。俺は話をそらすために気になったことを聞いてみる。
「じゃあ、なんでそんな危険な森で歌っていたんだ? 危なくない?」
「う……それは……その……」
俺の言葉になぜか、メデューサは顔を真っ赤にしてペルセウスを見つめるのであった。その視線で何かに気づいたのか、ペルセウスが嬉しそうな声をあげる。こいつら何を話してもいちゃつくんだけど!!
「おお、まさか私に会うためにわざわざ大声で毎晩歌っていたのか!? かわいすぎるぞ我が歌姫よ!!」
「うるさい、それ以上しゃべったら石にするよ!! とりあえず姉さんのところに行こう。姉さんはこの里の長なんだ。色々話を知っているし、力になってくれるはずだよ」
そういって顔を真っ赤にした彼女に俺達はついて行くのであった。
おもしろいな、続きが気になるなって思ったら、ブクマや評価、感想をいただけると嬉しいです。
特に評価ポイントは、『小説家になろう』のランキングシステムにおいてはかなり重要視されるんですよね。
↓の広告のさらに少し下に、ポイント評価を付ける欄がありますので、面白いなぁって思ったら評価していただけるととても嬉しいです




