爪切り勇者は覚悟を決めました
皆さんのご意見ご感想、特に勇者について、お待ちしております。
「おおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
「ぬぅぅおおおりゃああああああああっ!!」
勇者と魔王の戦いは伝説に刻まれるほどに壮絶なものだ。先代魔王ギガバルドは黒い火球を掌から回転式機関銃のように連射。それら全てが着弾と同時に爆裂する致命の一撃であり、アキラの命を狙う集中砲火だ。
対する勇者は何処からともなく取り出した電子オーブンレンジを開け、放射される極大の熱線で火球を撃墜。勢いが留まる事を知らない熱線はギガバルドに向かってまっすぐ伸びるが、彼は腰に携えていた伝説の魔剣で両断。肉薄する魔王に勇者は電子レンジを両手で抱えて突貫した。
「どうして……どうして俺たちは戦わなくちゃならないんだああああああっ!! いや、割とマジで!!」
「うちの娘が欲しければ、まずは父である我を超えていけぇい!! その後に我を交えた交換日記を認めよう!!」
2人のぶつかり合いは大地を割り、天を轟かす。アキラとギガバルドは一合、二合、三合と互いの武器をぶつけ合い、その度に大気は震え石や土が舞い飛ぶ。何十合とぶつかり合う魔剣と電子レンジはやがて鍔迫り合いとなり、戦いは均衡状態に移行した。
「いや、俺はちゃんと責任取るつもりですけど、娘さんの心境を考えずにいきなり結婚というのはですね!?」
「孕ませておいて何を腑抜けたことを言っておるのかこの優柔不断勇者があああああああっ!!」
「本当にすみませんでしたー!!」
その姿は優柔不断な娘の彼氏に対して大激怒する父親そのもの。父の威信をかけた烈気と共に黒炎を吹き上げる魔剣は電子レンジを粉砕する。
「殺った!!」
「させるかぁあっ!!」
武器を失った隙を逃さない渾身の突き。狙いは眼に見える人体急所である喉。必殺を半ば確信したギガバルドだったが、視界から宙に舞う電子レンジの破片が消えたかと思いきや、魔剣の先端を爪切りでキャッチしていた。
「ていうか貴様さっきから何だその戦い方! ふざけておるのか!?」
「仕方ないじゃないですか! そういう仕様の魔法なんですから!」
剣を爪切りで白刃取りする超絶技巧よりも、その図のシュールさが拭えず、伝説に刻まれるはずの勇者と魔王の戦いは、その経緯も相まって喜劇じみたものになっていた。そもそもなぜアキラが電子レンジや爪切りで魔王と戦わなくてはならないのか。それを説明するには魔法について説明しなければならない。
一般的に魔法とは、儀式や道具制作といった誰でも使える一般魔法と、生まれつき備えられ、後天的に変える事の出来ない個体ごとのオンリーワンの魔法である固有魔法の2種類が存在する。所謂、ゲームとかで出てくる攻撃魔法や防御魔法といった戦闘用の魔法は後者を指すことが大半で、多くの軍人や冒険者は固有魔法を使って戦う。
アキラの固有魔法はテンプレな異世界に召喚された勇者らしくチートじみたもので、その名を《妄想具現化》という。簡単に説明すれば、アキラが脳裏で描いた妄想の産物を現実に具現化する、0から1を作れない創造系魔法の法則に真っ向から喧嘩を売る魔法だ。
だが魔法の法則は等価交換であり、魔力さえあれば好き勝手に使えるというものではない。面倒な魔方陣と材料を用意して発動しなければならない代わりに永続的に力を発揮する一般魔法と異なり、固有魔法はそれぞれの条件を満たした上で一定時間内の間だけ力を発揮する。
例えば固有魔法の発動、維持するにはその間呼吸を止める、両手を地面に付ける、右腕を動かさないと、個人によって違いがあり、アキラが爪切りや電子レンジで戦う理由がまさにこれ。
「俺は手で触った事がある武器以外の物じゃないと出せないんですよ!!」
「なら包丁とか鍬とか色々あるだろ!?」
「その、武器以外って言っても定義っていうんですかね? そのあたりが曖昧で」
妄想の産物ゆえに多彩な能力を持つ道具を構造や機構、制作の過程を全て省いて具現化する正真正銘のチートスキルだが、突拍子もない能力は生み出せず、武器以外の〝物〟しか具現化できないという発動条件がある為、生物に剣や銃といった一目で武器と分かる物は勿論、推理小説や刑事ドラマなどでよく凶器に使われる包丁やバッド、農民が一揆を起こした際に武器にしたという農具の類も具現化できない。
アキラの深層意識という曖昧な判断基準に反映して武器であるかどうかを判別するため融通も聞かない、使いやすさと使い難さを兼ね備えた固有魔法なのだ。
「ぬぎぎぎぎぎぎぎっぎぎぎっ!!」
「ぬぐぐぐぐぐっぐぐぐぐぐぐ!!」
そしてその結果が、魔剣と爪切りで鍔迫り合いをする魔王と勇者という、シュールな光景である。一見ギガバルドが爪切り相手にムキになってるようにしか見えず、アキラが魔王と魔剣の組み合わせ相手にアホなことをしているようにしか見えないのがポイントだ。
「すげぇ……仮にも勇者と魔王の戦いなのに、まるで緊張感が伝わってこないぜ」
「心配はしてる。心配はしてるのに、何かだんだん馬鹿らしくなってくる」
これには事の当事者であるアイリスもジト目に磨きがかかるというもの。
「我が爪切り相手に……あり得ん……!」
しかし爪切りと侮ることなかれ。神速の突きを止めたのは超絶技巧にあらず。全てはこの爪切りが持つ力のおかげだ。
名付けて、白刃型必然式爪切り《キャッチ&キャッチ》
詳しい理屈や構造も考えずに、ただ「必ず相手の刃を挟み取る」という妄想から生まれた爪切りは因果律を逆転させ、「爪切りで相手の刃を止めた」という結果を作ってから「爪切りの刃を向ける」という原因をもたらし、相手の刃物を必ず白刃取りする対刃物防御手段。鈍器や魔法に対しては一切役に立たないのはご愛敬だ。
「ヤバい……手が痺れてきた……!」
だが所詮爪切りは爪切り。小ささ故に両手で持つことは出来ず、全体重を乗せて押し切ろうとする両手持ちの剣を止めるには指と腕に相当な負荷がかかる。均衡が崩れつつあることを察したギガバルドは火球を直接アキラにぶつけようとした。
しかし彼は片手が空いている。真横にキッチン家電不動の帝王である冷蔵庫を具現化して空いた手で素早く開けると、中から吹き荒れる冷気の風がギガバルドを包み込む。
「どぉおりゃあああああああああああっ!!」
「ぬぐぉおおっ!?」
瞬時に氷漬けになりつつも即座に融かそうとするが、その隙は余りに致命的。冷蔵庫を持ち上げ大きく振りかぶり、渾身の力で叩きつける。100キロを優に超える塊を重量などまるで感じさせない勇者の膂力で殴られたギガバルドは放物線を描いて地面に激突した。
「やったか!?」
「その死亡フラグ貰った!!」
「アッーーーーーー!!」
濛々と立ち込める砂煙を前にして口にした台詞が悪かったのか、アキラの足元が突如大噴火。地獄の業火を思わせる黒い炎を纏った溶岩と共に天に打ち上げられる。
「あーちゃちゃちゃちゃちゃーーーーっ!?」
全身に絡みつく蛇のような黒炎に焼かれて悶え苦しむアキラ。流石は元魔王と言うべきか、並の炎では火傷一つ負わないアキラに大ダメージを与えた。
「我が固有魔法《黒炎破》を超える炎は無い。一度燃えれば対象が焼き尽くされるまで消えることなく――――」
「鎮火!」
「何ぃぃいいっ!?」
どこにも繋がっていない蛇口を召喚、頭上でハンドルを捻ると不思議なことに水が放出され、消えない炎が一瞬で鎮火される。
「貴様、何アッサリ鎮火してるんだ!? 消えない炎みたいな説明をした我がバカみたいではないか!!」
「そんなこと言われても!? 消さないと死ぬじゃないですか!!」
魔法はより強い魔力に打ち消される。例えば毒の魔法と解毒の魔法がぶつかり合った場合、込められた魔力が高い方が優先されるのだ。今回の場合、ギガバルドが魔法に込めた魔力をアキラの鎮火の魔法に込めた魔力が上回った結果だ。
「ぬぐぐ……! 魔力も中々高いようだが、それだけでアイリスたんを娶ろうなどと、そうはいかぬぞ……!」
「だからまずは俺の話を……って、聞いてないか。鎮圧するしか……ないっ」
親馬鹿全開で怒りと共に膨大な魔力を噴出する先代魔王と、蛇口片手にキリッと引き締まった良い表情を浮かべる勇者。そこからはもう、文字通り本当に酷い泥仕合だった。
得意の爆炎系の魔法でアキラの命を狙うギガバルドと、相手が炎熱系の魔法の使い手なら水で倒せばいいと2つの蛇口のハンドルを全開にして水鉄砲を乱射するアキラ。戦場が土と砂の荒野であったことが災いし、膨大な水で濡らされ、炎で熱され、また水で濡らされ、またまた炎で熱された荒野は、何時しか高温高湿度という不快度指数が極めて高い泥の沼地に変貌していた。
「なんとしぶとい男だ……ぶべっ!?」
「すいません、ちょっと待って貰えますかね!? 足が、足が泥に沈んで!」
泥プロレスどころではない。水を張った水田に等しい場所で後先考えずに全力戦闘を繰り広げた2人の体力と魔力は遂に限界を迎え、泥に足を取られる始末。高温高湿度で居心地は最悪の一言。全身泥まみれになって、一刻も早くシャワーを浴びたい気分だ。
「ぬおおおおおおおおおおっ!? わ、我の手足が泥に沈んでいくぅぅぅっ!? あ!? こ、腰が……」
「ぜえ……ぜえ……ちょ、大丈夫ですか……?」
ギガバルドは今、両手両足を泥に絡めとられたのに加えて、ギックリ腰になって身動きが取れないらしい。生温い沼の中でアキラはようやく一息つく事が出来た。初めはまず冷静になってもらう為に戦っていたが、流石元魔王と言うべきか、アキラにはもう追撃する気力がない。
(でも、冷静になったところでどうするよ? なんて返事をすればいい?)
本心では答えは決まっている。しかし余計な理性が返答を阻んでいた。
それはアイリスに対する負い目だ。こんな自分と一緒になって幸せになれるのか、結婚する以外の方法で償った方が良いのではないのか、アキラ1人では答えの出ないことに頭を悩ませる。
「決着はついた?」
そんな起伏を感じさせない声と共に思い悩むアキラの真横まで沼が凍りつき、アイリスはザイツェンとゴルド―を率いてやってきた。足が泥に沈んだ分と、水嵩の分だけ顔の距離が縮んだアキラとアイリスは真正面から互いの瞳を絡め合う。
「あのさ、聞いてもいい?」
「何?」
「さっき俺にどんな選択をしても構わないみたいなこと言ったけど、言い方を変えれば俺とその……結婚してもいいってことだろ?」
「ん」
コクリと、アイリスは頷く。
「何でそう思ったんだ? 俺と魔王軍は敵同士だったし、お前に最低なことしちまったし。悪いのは俺なのに、土壇場まで来てウジウジ悩んでるし。見た目が良いわけじゃないしさ」
言えば言うほどにアイリスに相応しくないように思えてくる。アキラの知るところではないが、彼女は恋愛観が幼稚園児並みなので強姦や容姿云々について文句はない。だが勇者と魔王として戦ってきた過去がそれを許さないのではないのか。こんなヘタレのどこがいいのかと思わずにはいられない。
(あぁ、全然駄目じゃん、俺。結局、受け入れる理由をこの娘に求めてる)
そしてそれが、何よりも情けない。年相応と言えばそうだが、男としてあまりにも情けなさ過ぎる。男女に貴賎は無くても、男として本心をぶちまける場面だというのに、それが出来ない己の弱さが憎かった。
「優しい人だから」
「へ?」
そんなアキラの目を蒼い瞳で真っ直ぐ覗き込み、アイリスは端的に述べた。意味が分からず目が点になるアキラの困惑を察したのか、アイリスは続けて告げる。
「3ヵ月前からアキラを見てきて分かった。これまでの戦いでアキラは私たち魔人族を一人も殺してない。初めはそういう発動条件かと思ったけど、本当は致命傷を与えないようにしているんでしょ?」
「ん……まぁ、そうだけど」
テレビゲームをやっていて、「戦闘中にあれだけボコボコにしたのに外見が無傷なのは不自然」と感じた者は少なくないだろう。
アキラの《妄想具現化》は戦闘におけるデメリットを作り出すことも可能だ。殺し合いの場に在って、相手に怪我を負わせない等といった、何をしても致命傷を与えずに体力や精神力、魔力を削り戦闘不能にすることが可能なのだ。現にギガバルドも衣服や肌は汚れているが血を一滴も流していない。
「人を殺すことも殺されることも怖くてさ……勇者だなんだの言っても、全然そういうのに向いてないんだわ」
悪を滅ぼすべきだという一輝に言う事を聞かない奴は殺せばいいと宣う優人、覚悟の無い甘ったれだと吐き捨てた枢に魔人族を殺せと叫ぶ他種族全体。浴びせされた糾弾の数は数え切れず、戦争である以上敵を殺すことが勝つための正しい手段であることは理屈では理解していた。
性善説を説く気も、それを他人に押し付ける気も無い。しかし〝人を殺す〟ということは、これまでの人生で貫いてきた最低限の良心を溝に捨てるということ。アキラの在り方は人とそれ以外の生物を区別している以上聖人には程遠い。結果的に命を落とした者も居れば、積極的に命を救おうとしなかった時点で偽善でしかない。ただ人を殺さないことだけが、彼の小さな矜持だった。
「普通に考えたら殺しに来ている敵を殺さないなんてバカのすること。逃がしたら警戒されて後で余計に苦労するに決まってるのに、それが出来ないなんて戦士失格」
敵は屠るのみ。魔王として、守護の要である軍の長として敵軍に情けを掛けることが許されない彼女はアキラの在り方を愚かだと断じた上でアイリスは告げた。
「でも、そうすることが普通になってて、殺すことや殺されることが怖い事も、やったらやり返されるなんて当たり前の事も世界中の人が忘れてた」
アイリスは淡く微笑んで、泥だらけになったアキラの手を両手で包み込む。綺麗な白い手が汚れ、思わず手を引っ込めそうになるが、不思議な事に力が込められていない彼女の手を振りほどくことは出来なかった。
「貴方はどれだけ命の危機に瀕し憎しみを抱いても、この傷と泥に塗れた手で不殺で貫いてきた。戦いが常のこの世界でそうしようと思ったら、臆病である以上に優しい人じゃないとできない」
「いや、優しいとかそんなんじゃないんだけど……俺がそうしたかったっていう自己満足だし」
「全体主義から見れば、個の為に全を蔑ろにしてるって後ろ指指されるかもね。でも私から言わせてもらえば、殺すことを当たり前なんて考えてる人に争いの禍根は断てないし、何時までも戦争が終わらない」
1000年続く戦いの歴史。他種族からは平和を嫌うと言われている魔王は、他の誰よりも平和を望んだ少女だった。ただ、やり方が戦争の常識に当て嵌まっていたというだけのこと。誰もが同じようにしてきた中で、孤立無援の種族の長というだけで悪名を着せられた少女だったのだ。
「バカなやり方でも最後まで貫けば、禍根のない理想の平和に近づけるかもしれない。そしてなにより、私自身がお腹に居る温かいモノをくれた臆病で優しい貴方の事を、もっと知りたい。愛なのか恋なのかも分からないけど、これが私の本音」
ただの自己満足に満ちた不殺主義だった。命がけで戦う大勢の者が批難する戦い方だと思っていた。だが目の前の少女は海よりも深い度量でアキラの過ちごと受け入れ、選択肢を与えた上で歩み寄ろうとしている。
(しっかりしろよ、俺。ここまで言われて逃げるとか最悪だぞ)
なにより、自分の子供を受け入れ母になろうとしている少女を捨てて、自分だけのうのうと生きることは出来ない。若い男が生まれ変わるのは一瞬だ。覚悟を決めた少年は大人の階段を駆け上がり――――
「ふん。所詮はゴミムシ小僧。土壇場でもヘタレるに決まっておる」
(どーそてこの人は俺を子供のレベルまで引き落とすのかなぁ)
ゴルド―に引き上げられたギガバルドの一声で色々と台無しになった。だが、生憎とその程度で折れなかったアキラは凍った沼地に上がり、ギガバルドの前で両手両膝をついて叫んだ。
「お義父さん!! 娘さん……いや、アイリスさんを僕にください!!」
「ほーら、見たかアイリスたん。このゴミムシはこの期に及んで……って、えええええええええええええっ!?」
「なぜそんなに驚く!?」
数々のしがらみを抱えたまま、魔王と共に歩むことを決心した勇者。魔王が選び、自身も覚悟を決めたのなら後悔を残さず死力を尽くして幸せにするぐらいの気炎が臆病な勇者の背中を押していた。
「色んな段階すっ飛ばした男女関係ですけど、一生かけてアイリスさんと向き合っていきます!!」
「よかった。これで魔人族は安泰ですね」
「ん……なんか照れる」
「これで2人が泥まみれじゃなけりゃあなぁ」
「ゴルド―、うっさい」
スマートさの欠片も無い見るも無残な姿だが、これが現時点での精一杯だ。そっとギガバルドの反応を窺ってみると、俯いてプルプルと震えている。何とも不穏な様子だ。
「……らん」
「え?」
「娘は……どこにも嫁にやらん……!」
突如、精根尽き果てたと思っていたギガバルドから尋常ではない魔力が吹き上がる。
「まだ終わってはいないぞ小僧!! 我にはまだ、第二と第三形態が残っている!!」
「あんた何時の時代の魔王だ!? っていうか、あれだけ発破かけておいてそれが本音でしょう!?」
地中深くに眠るマグマがうねりを上げ、大地を揺るがす。子離れできない元魔王は第二形態を披露しようとして――――
「あなた、いい加減鬱陶しいですわ」
「ぱうっ!?」
突如背後に現れた美女に笑顔で手刀を当てられ、ぱたりと気絶した。
「あ、お母さん」
「へ!? お、お義母さん!?」
「始めまして、アキラ殿。私、ギガバルドの妻であり、アイリスの母、ミシェル・サタン・クリフォートと申します」
蒼く長い髪を持ち、20代で老化が止まる魔人族なのでアイリスほど大きな子供が居ても不自然ではない若々しい美女で、身長以外の容姿はどこかアイリスに似ている。特に胸が。
「私、貴女に話しておきたいことが沢山ありますの。もちろん、聞いてくださいますわよね?」
「ひゃ、ひゃい」
頬に手を当て、柔和な笑みを絶やさないミシェル。しかしその目は全く笑っていない。背中に巨大な氷柱を刺しこまれたかのような寒気に襲われ、アキラは素直に応じるしかなかった。
シリアスなのかギャグなのか……。