十三話
もう少しで物語は終わります
出来れば読了後に感想だけでも良いので下さい。マジに
僕は山城を殺した後にすぐシャワーを浴び、汗にまみれたシャツや衣服を着替えた
そして、哲也の車にバラバラになった藤谷、物言わなくなった山城を哲也と一緒に後部座席に寝かせた状態で乗せ、直ぐに車を発進させた
家を出た時、車のデジタル時計を見ると時刻は午前三時を回っていた
死体を隠すには絶好の時間帯だ
この時刻に外を出歩く人間は少ないだろうし、夜勤でパトロールを行っている警察官もこの寂れた街にはここから東に十キロ離れた場所にぽつんと一つ小さな駐在所が存在するだけである
リスクは多少存在すあるが、僕が職質に遭遇する心配もそれほど必要ないだろう
それにこれは哲也のスポーツカーだ。ある程度は速度は出せる自信はある
それに捕まりそうになったらスピードを上げて逃げればいい
ここ数時間で運転もかなり慣れてきたので、逃亡を計るとなっても難しくは無い問題だろう
それ以前に、ピカピカと分かり易い赤いパトライトを光らせて接近するパトカーなぞには警戒するまでもなく捕まる筈も無いだろうが
一時間程走った先には山が見える
そのままもうしばらく走らせると新緑の木々が深く繁る山道に入った
この辺りの道路は昔に敷かれて以来長らく整備が行われておらず、長い年月の間に風雨に晒され、凹凸状になったアスファルトを踏破しているタイヤから伝わるの振動で車全体が震えながら走っていた
僕のハンドルを握る手汗でびしょびしょになり震えている
それは自分が殺した人物の死体をまるでゴミが何かの不当投棄のように山に棄てるという背徳行為を行うことに対する恐れなどではあり得ないし、死体という名の重荷を捨て去ることによる解放感による震えでも無かった
痒い
ここしばらく感じていなかった右手の痒みが、
とっくの昔に収まったと思っていた筈の原因不明の蕁麻疹が再び蘇って痒みをもたらしている
それも前に起きた今までまでの只の“痒み”の範疇に収まりきれるものでは決して有り得なかった
その痒みは『かゆい』と言うよりひどく『熱い』と感じるのだ
熱さと寒さは人間が感じる事の出来る限界を超えればどれも“痛く”感じるのだということを過去に何かの健康番組で見ていた気がするが、よく思い出せなかった
只、言葉として変換できる右手が蝕まれている痒みを明確に示すとすればそんな感じだった
今は運転に支障を来すために必死で我慢をしているものの、平常時なら僕は間違いなく腕の痛みに耐えきれずに呻き声を上げていたであろう痛感。
必死にハンドルを握り締めて、更に痛みから目を剃らすために闇を照らすライトの光を自分の視線で必死に追い続ける
出来る事ならば停車し、ハンドル操作で酷使している片手を思う存分休ませたかった
しかし、自転車と違い大質量の車を運転中にハンドルを片手で制御するのは難しい、それにこの視界の悪い山道だ
長年車を運転している人間は携帯を操作しながら片手運転が出来るのだろうが、少しは馴れたとは言え経験上運転初心者である僕は流石にそれを実行する気にはなれない
痛みを黙殺してまで運転を続けた車は、一時間程走った後に、比較的開けた場所に到着した
直感的に車を停め、そこの茂みを掻き分けしばらく十五分程歩いた先は切り立った急な崖になっていた
その地形を利用死体を棄てるかどうかしばし悩む
結論はここで処分する事に決めた
穴を掘って埋めるのも確実に死体の発見を防ぐ一つの有効な手段で発見されにくいが時間がかかり、手間が掛かる
それに五メートル以上の深さを持った穴じゃなければ、山の動物か登山者に掘り起こされる可能性がある
それに僕が下手人とはいえこれ以上山城や哲也の死体と一緒に過ごすのは耐えられなかった
だから面倒くさい事はさっさとに終わらせて楽な気分になるに限る
哲也殺害から此処にくるまでに僕が考えたいたよりも動揺せずに比較的冷静に物事を処理することが出来た自分に対して多少驚く
自分一人で三日間に三人も殺したという異常な状況に身を起きながらも感覚が狂っているとしか考えないくらい今日の僕は頭が冴えて思考がクリアになっていた
狂気に侵されているならそれでも良い
どの道この先逃げながら生きていくしかないのだ
人殺しまでやって肉親にまで手を掛けてしまった今では全てがなにもかもどうでも良かった
これからも気に食わない連中や僕自身き危害を加えるような輩がいれば今回のように証拠を遺さないようにして消してしまえばいい
今更外道の道を歩もうとも後悔は全く無かった
自嘲する
ネガティブな僕が多少、歪な形であるとは言え自分を肯定しているとは
こんな事は今までの人生でも考えなかった
ふと車内に表示されたデジタル洋数字が目に入る
家を出た時から既に三時間が経過していた
深く物思いに耽りすぎて時間を無駄にしてしまったようだ
雑事は早く済ませたい
そう思い道を急いだ
僕は車で来られるところまで崖に近付きそこから先は自分で死体を担いで歩く事にした
後部座席を見、なんとなく視界に入ったいくつもの藤谷の入った黒いゴミ袋の内一つを手に取る
これならコンパクトで持ち運びがし易い上に崖に死体を捨てる実験をするにしても恐らく上々の結果が得られるだろう
それを持ち崖までやってきた僕はゴミ袋の中の更に小分けした袋から藤谷の腕が収まった袋を実験も兼ねて崖の暗闇に放り投げた
死体を包んだビニールでは所々でゴツゴツした岩に激突し、袋は徐々に破け、そのすきまから血や、何か白いものを撒き散らし闇に落ちながらやがて見えなくなった
初の死体処分としては上々の仕上がりだった
この位の崖なら遺体は粉砕され、証拠は散逸する
後は森の動物が後始末をしてくれるだろう
猪や土竜はなんでも食べる雑食動物だ
普段食べない人間の肉とはいえ、動物は食い物の選り好みはしない筈である
少しの食べ残しも残らず食い尽くしてくれるだろう
そうなれば後は時間がカタをつけてくれる
生前散々人や僕に迷惑をかけた藤谷や山城は自ら猪のフンとなり、その後は肥料と化して自然を肥やす
実に環境に優しい理想的なリサイクルである
ふと日本の死刑罰の一つに生き埋めというのを提案したいと思った
他人に迷惑を掛けるクズ人間は首だけを地上に露出させ、餓死するまで苦しみを味わう
その後の遺体は勿論埋葬なんかされずに山や海に投棄され自然に還元するのだ
それを我ながら良いアイデアだと絶賛する
しかし、その刑が正式採用されるとなると、最初に刑が執行される人間は間違いなく僕自身だろう
自分で考えた死刑で死ぬのはあまりにも間抜けが過ぎないから、投書を国会に提案するのはやめる
残念だった。帰ったら半分本気でやろうと思ったのだが
ブラックジョークを考えるのはこの位にして残った藤谷の体のパーツを崖に放った
次は山城を棄てる
そう決めた僕は哲也の車へと急いだ
この森はちょっとした樹海だった
植物の育ちが良いのだろうか普通の森に比べ木々が太く、それに生えた葉も人間の掌より大きい
更に雑草とかの名もない植物の数も他の森とは比較にすらならなかった
死体を棄てる以上、人があまり訪れなさそうな人里を離れた僕が住む街の郊外から離れた場所を選んだつもりだが適当に判断したのが帰ってよい結果になるとは思いもしなかったのだが
ただし最低限の警戒も必要だ
これだけ深く暗い森で迷えば、ほぼ間違いなく高い確率で帰れなくなる
死体を処分しに来たのに自分がのたれ死んでしまっては意味がないし笑えない
だから僕は車の車内灯とライトを付けたままで先ほど崖まで行ったのだ
これならば車の光で帰るべき場所が解るし迷わないというわけだ
実際に僕は今その灯りに向かって歩いている
やっぱりなんにせよ保険はかけとくものだ
だが、そこで哲也の車に起きた異変に気付いてしまった
『車の中に誰か居る』
一瞬、樹海の暗さが生み出す僕の密かな恐怖がそれを見てしまったのかと逃避に走りそうになる
だが目を凝らして再度車内を見てみると確かに動く人影らしきものは確認出来た
ーーーーーツゥと静かに音を立て
背中を冷たい汗が伝ってズボンに染み込んでいくのを感じた
ドクン
ドクン
ドクン ドクン
ドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッーーーーーーーーーー
心臓が別の生き物のように早鐘を打つ
一筋だけの筈の汗が次々とダラダラ流れ出す
焦りが現実的に有り得ない想像をする
死体が生き返った?
藤谷か山城が僕に復讐するために蘇った?
判らない
何故ここに僕以外の生きている人間が居るなんて
殺した相手に復讐されるなんてシナリオは演出ばかりに懲りすぎた趣向にある最近のホラー映画ではベタすぎて使われないだろう
冗談じゃない
意味が解らない
ここに人が居るなんて
登山者か?
いや、真夜中なだけで嵐でも来てないのに他人の車で寝泊まりする阿呆やホームレスなんて聞いたことがない
そんな奴はこんなに森が深い山にはいない
では山の動物だろうか?
有り得ない
車には電子ロックが架かっている
道具を扱えない動物なんかじゃ無理だ
それに、あの陰は間違いなく人間のシルエットだった
何故だかそう確信できる
直感とかそういったものかもしれない
それにあの陰は、、、
理由は判らないが前にどこかで見たことのあるような人物かも知れないと考えがチラリと脳裏をよぎってしまったからだ
そして、唐突に何の前触れもなく
その“誰か”がこっちを向いた
息を飲む
僕は“その人”を知っていた
その人と僕の目があった
その人はこの世全ての悪を見るような、人類の憎しみを全て請け負ったような半ば死線とも呼べる視線を僕に突き刺してきた
そしてその人物は車の中から“何か”を抱きつつ唇を動かした
………信二……!
確かに僕にはそう言ったように聴こえる
いや、事実そう言葉を発したのだろう
なぜならそれは、その人物は……
「信二…信二………シンジ…シンジィィィィィィィィィィィィィィィィィッ!!!」
見間違えようのない僕の母親だったからだ
母さんは変わり果てていた
昔のようにきめが細かかった肌は頬の骨が露出したかのように深く痩せ、絹のように滑らかだった黒髪は縮れてボサボサになり眼下は黒い隈が出来ドクロの様な印象を抱かせ、その奥には憎しみと怨みで濡れた瞳が昔以上に狂的で残忍な光りを湛えていた
「お前、お前がお前がお前がッ!哲也を殺したのかいッ!」
それはもはや質問ではなく僕がやったという断定だった
まともに母さんとの意志の疎通は図れそうに無かったが、僕は素直に答えた
「そうだ。僕がやったさ。僕が哲也を殺したんだ」
母さんはそれに対して顔だけを僕に向けながら車を降りていた
その右手に錆び付いた包丁を持って
身の危険を感じた僕は直ぐに交代しポケットからナイフを取り出す
「シンジィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィッ!」
駆けてくる
母親が
実の息子である僕を殺すために
風邪気味かな?
なんか自分の周りがグルグル回っている気がするんだけどね。
明日スパロボ届くで部屋に篭もってやろうと思ってんのに、なんでこんなに間が悪いんだろうか?
とゴジラVSデストロイア見ながら書いてみる
熱で自分の体もメルトダウン




