十一話
感動の最終回ッ!
これまでアクセスしてくれた人
有難うございましたッ!
次回作はファンフィクション短編
『仮面ライダーOOO』
をお送り致しますっ!
1ヶ月半に渡って付き合ってくれた方
感想をくれた方
1日に何回もアクセスしていただいた方
『有難うございましたッ!』
「兄さん!」
声がする
「起きてくれよ。兄さん!」
頼む、眠いからしばらくこのままにして置いてくれ
「兄さん。ちょっと聞きたいんだけど」
僕には哲也に尋ねられるような事は身に覚えが無いハズだ。
しかし、何故か多少気になった
「ねぇ…」
うるさい
今は起きたくないんだ
「冷蔵庫開けたときに中に入ってたあれは…なんなの?」
.....?
何を言っている
「中のアレは一体…」
バレた
しまった
迂闊だった。哲也は前にこのアパートの場所を知っていたのを忘れていたのだ
おそらく酒で泥酔している僕を家に運んでくれたのだ
おそらく、冷蔵庫の藤谷を発見したのは僕に水でも飲ませようとして扉を開けてしまった時に目に入ってしまったのだろう
意識が急激に覚醒し跳ね起きる
そして、哲也に向かって静かな声で尋ねた
「見たのか?」
生来人見知りする性分である僕自身の声とはとても思えない氷のように冷えきった声が出る
「あれを見たのか。哲也」
再度確認をする
自分の聞き違いであってほしいと半ばそう願いながらも胸中は諦めに満ちており、心は嵐の前の大海の如く穏やかだった
「あれ、、、人の首だろ?一体何があったんだ兄さん」
こんなに狼狽して落ち着きを見せない哲也を目にしたのは初めての経験だった
「兄さん。まさか人を「あれは僕が悪いんじゃない!」
哲也の言葉を遮って、蘇ってきた胸中のどす黒い感情が口を割って溢れ出す
「あれは僕が悪いんじゃない。あいつが、藤谷が悪いんだ。あいつは山城と組んで僕を馬鹿にしただけでは飽きたらず、職場で雌豚と一緒に僕を笑いのネタにしたんだ
あれは当然の報いであり結果だ」
「そんな、、何で人を、、ありえない。そんな身勝手に「あいつは死んで当然の奴だ。僕がやらなくても何時かは誰かに恨みを晴らされていた。
仕方がなかったんだよ」
「そんな理由で人を殺すなんて間違ってる!」
「僕はお前とは違う!」
哲也と僕の価値観の相違に対してのイライラが頂点に達して叫ぶ
「お前は解らないだろうな。人から愛され、尊敬されるお前に僕の気持ちなんて理解出来ない」
今まで溜まってきた思いが
「僕は顔が醜いとか少し勉強が出来ないとかそんな自分勝手な理由で母さんに虐待されてきた。
苦痛でしかなかった高校をようやく卒業して社会に出てようやく自分の足で立ったと思ったら、今度はバイトの連中に馬鹿にされる。
自分を変えたいと思ってこっちが接してきてるのに奴らはそんな僕を無視し、嘲り、陰口を叩き、自分に見合ったお仲間と一緒に笑う
哲也、お前はこれ程の屈辱と敗北感を味わった事があるか?
いや、無いよなぁ
お前は生まれてこの方、母さんだけじゃなくてそこら辺の馬鹿共にすら玉の輿の様に持ち上げられてきたんだよなぁ
なにもしていない、ただ普通に他人と接してるだけでさ」
長年に渡って降り積もってきた憎悪を哲也にぶつける
「………違う。俺は」
「いんや。違わない
見てみろこの僕とお前の差を、同じ父親と母親からの腹の中から生まれてきたのにこの差は何だ?
可笑しいだろう?笑えるだろう?
何せ生まれも育ちも一緒だった僕らは何でこんなに差が付く?
お前はただそこにいるだけで友人が出来た
僕は人に好かれようと努力したのにこの様だ。笑え
おまけにお前はいつだって無条件に母さんに誉められるのに僕は何をしても殴られる
生まれた時の条件が変わらないはずの僕とお前で何でここまで差が出来る
可笑しい、どう考えても理不尽だ
こんな不条理があって良いはずがないッ!
今まで虐げられてきた僕の思いがお前には解るか?哲也」
藤谷を刺した時以上の興奮が僕の中で湧き上がってくる
それともこれは生まれてこの方ずっと僕より優位に立っていた哲也の沈黙を良いことに反論を許さずに一方的に罵倒している事に対する高揚感から来るのだろうか?
しかし、哲也は動揺していた先程とは異なる瞳に広大な湖を連想させる静かな目で僕を見つめつつ言った
「兄さん」
静かに言う
僕は興奮していた
これまで自分と比較して優秀な弟に対する不満や憎悪をここまで表面に面と向かって出したことはなかった
自分が罵倒で哲也を詰るのを楽しんでいた
当然だ
今まで僕は敗者であり哲也は圧倒的に勝者であり続けた
そして今、様々な要因が絡み合った結果として革命が起こり
僕の気迫は哲也を凌いでいた
哲也は僕に脅えていたのだ
僕の行った罪に対して
脅えていたから露出した僕の憎悪に反論出来なかった
僕は今、どんな事が有っても今だけは哲也より上だった
昨日微かに感じた藤谷への罪悪感などとうの昔に脳内から消し飛んで粉々になっていた
だから、この攻勢を出来るだけ継続させる
この時だけでも僕が哲也を敗者に
様々な成功を収めた哲也を抑えるためたったそれだけの為に
次に哲也が何を言っても僕自身が味わってきた負の条理で論破するつもりだった
しかし
「自首しよう」
たった一言だけのその言葉で
僕は再び現実に引き戻され、
敗者になった
「え?今なんて…」
哲也は再び言葉を噛みしめるように言った
「警察に行こう。兄さん
今ならきっと、マトモに戻れる」
次の瞬間、僕の表情が乾いた
笑う
笑う
笑う
笑う
laugh
乾笑
「あは、は、な、、、な、何を言っているんだ?
て、哲也 」
哲也はじっと僕を見つめる
それは今まで僕が誰からも向けられたことのない
人から受ける真摯かつ暖かな態度だった
「今の兄さんは少しおかしいよ、いったいどうしたんだ?
なんでこんなになってしまったんだ?
昔の頃の不器用だけど優しかった兄さん何処に行ってしまったんだよ…」
…………………………あ。
今の言葉が引き金になって思い出した
話し相手がいなかった時の僕は家で母さんも居ない、塾の休みの時は哲也とたまに喋っていた
お互いの先生の事、いっしょにみたヒーロー番組の事、こっそり食べたチョコレートが美味しかった事
何故だろう?
すっかり忘れていた
目の前が辛くて痛くて冷たくて苦しかった時
この事を思い出して空想に浸っていたんだっけ
次に哲也と話せる話題を考えながら
僕はこれを思って辛いことから痛む心を和らげていた
だから耐えることが出来た
自殺するのは哲也と話せることが出来なくなるからやめた
最近は色々ひどい目にあっていたからすっかり忘れていたけど
こいつはそのことを忘却せずに覚えていてくれたんだ
そういえば哲也は昔から優しい子だった
ランドセルが棄てられた時に、母さんに殴られていた僕を母さんを止めて助けてくれたこともある
その外に色々と僕の知らない所で庇って居てくれたんだろう
あの事件以来母さんに殴られる回数が減っていた気がする
僕は自分と違って母さんに愛されていた哲也を、
憎かった哲也を殺そうとしていたのに
そうか、だからあいつは
妬むことしか知らなかった僕と違って
人に好かれているんだ
「ごめん、哲也。
僕はどうにかしてたよ」
「兄さん……」
「はは…笑えよ。
兄ちゃん駄目人間過ぎて、ついカッとなって人殺しまでやっちまったよ
落ちるとこまで落ちたけど、今からでも立ち直れるかな」
哲也は目に涙を浮かべて何度も頷く
「うん……うん、
きっと出来るよ兄さん
人間は何度でもやり直せるさ
わかってくれてありがとう、、、
昔の優しい兄さんに戻ってくれて、、、
本当にーーーー良かった」
哲也はぼろぼろ涙を流している
僕も釣られるようにして泣いた
「ありがとう哲也
僕はやり直したい。
妬むだけの人生から哲也みたいに人に愛される人に生まれ変わるよ
だからーーーー
僕を警察署まで送ってくれないか?
自首する、
いや、今までの人生を清算してやり直すために」
「でも………兄さん。本当にいいのかいしばらく会えなくなるよ」
僕は苦笑した
ぽんぽんと優しく励ますように哲也の肩を叩いてやる
「おいおい。
先に言ったのはお前だろう?
大丈夫さ、刑務所の臭い飯だって、慣れれてしまえば今日のレストランで食ったディナー並みに美味く感じるって」
「…わかった。俺にも協力させてよ
兄さんの厚生、もとい生まれ変わりにさ」
それから僕たちは哲也の車に乗り、警察署へと向かった
深夜の夜景は今もまた綺麗に建物の明かりを映えさせ、今は夏ではあるがまるで冬のクリスマスツリーのように街を美しく彩っていた
そこで僕は哲也に頼んだ
「すまない、哲也。少しお願いがあるんだ」
「何?」
「近くにあの公園が有るだろ? 待ち合わせ場所の彼処が」
「なんで?」
「最後にお前ともう少しだけ話したいんだ。
そう…昔のようにさ」
「ああ。わかった」
哲也は公園前着くとに車を停めた
「ありがとう哲也」
「………え?」
そして僕は
車が完全に停車したと同時に
運転席に座った哲也の首筋にあの果物ナイフを突き立てていた
「なんで、、、」
哲也は驚きで目を見開くと同時に僕の座る後部座席を振り向こうと僅かに首を捩らせ
「にい……………………さ……………―――――――――――――――」
果物ナイフの絵と全く同じ毒々しい血潮を、
首の動脈からピューッと効果音が出そうなほど赤い噴水を勢い良く噴き出しながら
僕に向けかけた視線をあらぬ方向に向けたまま
哲也は死んだ
すいません
最終回というのは嘘です(汗
実はもう少し続きます
最後までよろしくお願いしますm(_ _)m
評価、感想等ございましたら是非ともお送り下さい
評価は無くとも結構ですので
筆力向上の為に!




