夕焼け
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「そうだったね……私は、この寺井に対する気持ちが抑えられなくなって、こんなことをしてしまったんだ」
「……」
「でも、一体どうすればいいの! 答えてよ、理想像の私!!」
私は思わず目の前に居る自分自身に問いかけた。
もう、自分の気持ちに気づいてしまったから、どうすることもできない。
多分この夕焼けが沈めば、また朝になり同じことを繰り返すだろう。
それが嫌だと思っても答えが出なきゃ抜け出せない。
私はどうしても答えが知りたかった。
「それを私に聞いて、解決すると思う。私は、あなたが円滑な友人関係を作るために作られた理想像だよ」
「でも、私じゃ、これから寺井と向き合っていくことなんて出来ないよ!」
「……もう一度、今日の自分の行動を思い出してみなさい」
理想像の私にそういわれ、私は今日を振り返る。
朝、ひまわりに水をやり、朝の会の後体育館で遊び、屋上で弁当を食べ、空を見る。
どれも、私と寺井がよくやっていたことだった。
そこで、私はあることに気づいた
「私、夕方の屋上に来るまで、自分を寺井昇本人だと思っていた」
「そう、あなたはついさっきまで寺井昇をあなたの思う通り完璧に再現していた。これがどういうことか分かる?」
私はそういわれ、やっと理解した
「つまり、理想の自分による対応ではなく、本当の私の気持ちで接することを望んでいたってこと」
「……その通り」
理想の私が満面の笑みで、そう答えた。
「だから、あなたが周りから付き合っていると言われて気づいた気持ちも、確かに本当かもしれないけど、それよりもあなた自身の感じている気持ち接すれば、いいってことだと思うよ」
「そっか……」
それを聞いた私は何処かで安堵した。
誰かを愛したり愛されることも知らなかった私は、自分の感情ですらうまく理解できなかった。
でも私は、寺井のおかげで家族というものを手にいれ、誰かを大切に思う気持ちを手に入れることが出来た。
もう一度、彼に会いたい。
「でも、寺井に酷い事をしてしまった……」
「なら全力で謝ってきなさい」
「それで、また話せるようになるのかな……」
「それはあなた次第でしょ。あなたの気持ちに正直になって、しっかり行動していきなさい。有限実行、それが梶田結花でしょ」
そういった彼女の体が、薄くなっていく
「残念だけど、そろそろ時間みたい」
「この世界はどうなるの?」
「もうなくなるわ」
「お別れ……か」
私は消えかかっている、理想像の結花の手をつなぐ
「あなたは確かに私が作り出した理想像かもしれない。でもあなたは私なんだ。ごめん、私があなたに頼りすぎたから、こんなことになってしまって……」
私は、今まで本音が言えなかったのは、虚勢を張る理想像のせいだとずっと思っていた。
でも、向き合って話してみたことによって、それが間違いだということに気づいた。
「ホント、あなたのせいばかりにしてごめん……」
「気にしないで結花、あなたがいるから私が出来たのだもの。感謝しているわ」
そういった彼女は、私に抱きついてきた
「つらくなったら、またこの世界に来なさい。いつでもあなたを見守っているから」
私も強く抱き返した。
「ありがとう」
「さよなら、本当の私」
「さよなら、理想の私」
さよなら、私
そして、目の前が真っ暗になった




