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True Mind  作者: 青山洋
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屋上

 

-7-


 もう少し、もう少しで屋上にたどり着ける!

 俺は汗だくになりながら必死に階段をかけ昇っていた。

 二段ずつ一気に昇っていたので、息が切れかけていて苦しかった。

 でも、屋上で苦しくなったときよりも全然楽に感じて、体中の力を振り絞って上へ上へ昇った

「はあ、はあ、はあ」

 そして屋上のドアへとたどり着き、息を切らしたまま入った。




「お前、最近おかしくないか?」

「なにが?」

 空が夕焼けで、きれいなオレンジ色で染まる屋上に二人の人間がいた。

 片方は短髪の活発そうな男で、何処かで見たことある学生だった。

 そしてもう一人の方を見てみた。

「……あいつ、結花じゃねぇか!」

 なんと、屋上にまだいるはずのない結花がいた。これは一体どういうことなんだ


「元気なさそうだし」

「……そんなことない」

 二人は何か話しているみたいだった。一体何があったのだろう。

 こちらに気づく様子もなく、口論を続けていた

「最近俺とも話さなくなったし」

「気のせい」

「弁当だって、机の中にいつの間にか置いてあるし」

「私は昼に用事があるから……」

「今だって目も合わせようとしない」

「……あんたのキモい顔なんてみたくもないし」


 俺は違和感を感じていた。

 それは、目の前にいる結花が、俺と話していたときに比べで言葉遣いが悪く、落ち着いた雰囲気なんて全くなかったからだ。 

 なんなんだこの光景は


「……俺がなんか悪いことをしたなら謝る。弁当無料飯喰いだし、がさつだし……」

「……」

 活発そうな男と向き合っている結花は、何も話そうとしなかった。

 俺は奴のそんな姿を見て、何故か胸が苦しくなった。




「なあ、一体どうしちまったんだ」

「……」

 そして、結花が何も答えないまま三分程経過した。

 俺もその様子をずっと夕焼けが輝く中見ていた。

 結花の目の前にいた男は、話しても無駄だと気づいたのか、もう一度結花をしっかり見た。

「……分かった、じゃあお前が話してくれるまでここにいる」

 そして、その場に座り込み、足を組んで待つ姿勢をとった。

 その姿は、忠犬ハチ公の如く、いつまでも相手を待つという強い気概を感じとれた。

「……」

 だが結花は、、その場に立っているままだった。




「……寺井」

「おう」

「……」

「なんだ」

 我慢比べに負けたかのように、結花の重かった口が開く。

 だが、その姿を見た俺は、何か危険なものを感じて、止めようとした。

「だめだ、やめるんだ」

 そういって、間に入って止めようとする


「……だめだよ」

 だが、突然後ろから片腕を掴まれ、その場で止まってしまった。


「私もう限界なんだ……

「……二度と私に話しかけないで」

 そういった結花は、顔を上げずにそのまま走って屋上から出ていった。すれ違いざまにみえた奴の顔に、涙が見えた。



「……こんな姿見せたくなかった」

「……お前も結花なのか」

 俺の手を掴んで話さなかった奴も、なんと結花だった。どうなってやがる


「屋上を出ていったあの子は本当の結花。私は、あの子がそうでありたかった理想の結花。」

「……そういうことだったのか」

 ずっと頭の中に抱えていた違和感がやっとわかった。自分のことも

「そして、あなたは……」

「ああ、言わなくても分かる。俺も」


「本当の梶田結花だ」


 まさか、俺が梶田結花だとは思いもしなかった。だけど今なら分かる



「これが事実よ、あなたは昇とある理由で話さなくなった。この世界は、あなたが負った後悔を解決するために作られた世界」

「だから俺は、寺田昇になってどうすれば良かったか知るために、お前と何度も何度も毎日、日直をしていたんだな」

「そう」


 この世界の真実を知って、俺、いや私は理解した

 

「自分の名前を思い出せなかったのも、お前に違和感を感じたことも、やたらと体が重く感じたりしたのもそのせいか」

「そう、すべては寺田昇を完璧に理解するため」


 そう言われて、私は自分の過去を思い出した



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