屋上
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もう少し、もう少しで屋上にたどり着ける!
俺は汗だくになりながら必死に階段をかけ昇っていた。
二段ずつ一気に昇っていたので、息が切れかけていて苦しかった。
でも、屋上で苦しくなったときよりも全然楽に感じて、体中の力を振り絞って上へ上へ昇った
「はあ、はあ、はあ」
そして屋上のドアへとたどり着き、息を切らしたまま入った。
「お前、最近おかしくないか?」
「なにが?」
空が夕焼けで、きれいなオレンジ色で染まる屋上に二人の人間がいた。
片方は短髪の活発そうな男で、何処かで見たことある学生だった。
そしてもう一人の方を見てみた。
「……あいつ、結花じゃねぇか!」
なんと、屋上にまだいるはずのない結花がいた。これは一体どういうことなんだ
「元気なさそうだし」
「……そんなことない」
二人は何か話しているみたいだった。一体何があったのだろう。
こちらに気づく様子もなく、口論を続けていた
「最近俺とも話さなくなったし」
「気のせい」
「弁当だって、机の中にいつの間にか置いてあるし」
「私は昼に用事があるから……」
「今だって目も合わせようとしない」
「……あんたのキモい顔なんてみたくもないし」
俺は違和感を感じていた。
それは、目の前にいる結花が、俺と話していたときに比べで言葉遣いが悪く、落ち着いた雰囲気なんて全くなかったからだ。
なんなんだこの光景は
「……俺がなんか悪いことをしたなら謝る。弁当無料飯喰いだし、がさつだし……」
「……」
活発そうな男と向き合っている結花は、何も話そうとしなかった。
俺は奴のそんな姿を見て、何故か胸が苦しくなった。
「なあ、一体どうしちまったんだ」
「……」
そして、結花が何も答えないまま三分程経過した。
俺もその様子をずっと夕焼けが輝く中見ていた。
結花の目の前にいた男は、話しても無駄だと気づいたのか、もう一度結花をしっかり見た。
「……分かった、じゃあお前が話してくれるまでここにいる」
そして、その場に座り込み、足を組んで待つ姿勢をとった。
その姿は、忠犬ハチ公の如く、いつまでも相手を待つという強い気概を感じとれた。
「……」
だが結花は、、その場に立っているままだった。
「……寺井」
「おう」
「……」
「なんだ」
我慢比べに負けたかのように、結花の重かった口が開く。
だが、その姿を見た俺は、何か危険なものを感じて、止めようとした。
「だめだ、やめるんだ」
そういって、間に入って止めようとする
「……だめだよ」
だが、突然後ろから片腕を掴まれ、その場で止まってしまった。
「私もう限界なんだ……
「……二度と私に話しかけないで」
そういった結花は、顔を上げずにそのまま走って屋上から出ていった。すれ違いざまにみえた奴の顔に、涙が見えた。
「……こんな姿見せたくなかった」
「……お前も結花なのか」
俺の手を掴んで話さなかった奴も、なんと結花だった。どうなってやがる
「屋上を出ていったあの子は本当の結花。私は、あの子がそうでありたかった理想の結花。」
「……そういうことだったのか」
ずっと頭の中に抱えていた違和感がやっとわかった。自分のことも
「そして、あなたは……」
「ああ、言わなくても分かる。俺も」
「本当の梶田結花だ」
まさか、俺が梶田結花だとは思いもしなかった。だけど今なら分かる
「これが事実よ、あなたは昇とある理由で話さなくなった。この世界は、あなたが負った後悔を解決するために作られた世界」
「だから俺は、寺田昇になってどうすれば良かったか知るために、お前と何度も何度も毎日、日直をしていたんだな」
「そう」
この世界の真実を知って、俺、いや私は理解した
「自分の名前を思い出せなかったのも、お前に違和感を感じたことも、やたらと体が重く感じたりしたのもそのせいか」
「そう、すべては寺田昇を完璧に理解するため」
そう言われて、私は自分の過去を思い出した




