一寸の光
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「……っ」
気づいたには、俺はベットで寝ていた。
湿布臭い真っ白な部屋をみて、ここは保健室なんだと気づいた。
俺は確か……屋上で弁当を食べて……空を見上げて……誰かと話して……誰かと?
「あ、起きた」
「わっ」
職員机のすぐ近くにいた奴が、俺に声をかけてきた。
「いきなり倒れたからびっくりしたよ。大丈夫」
「……ああ」
……俺はその子の顔をみても、誰なのか思い出せなかった。
何処かでみたことあるような顔なんだけどな……
「もう頭、大丈夫?」
そう言われて、後頭部を触ってみると、別に異常は無くさらさらの髪の感触しかしなかった。
「大丈夫みたいだ」
「よかった」
そういったあいつは、あさっていた薬箱を閉まった。
華奢な体に似合わない落ち着きさを纏っていて、どこか頭の中で引っかかったりした。
そこで俺は、違和感を感じて正直に聞くことにした。
「なあ」
「うん?」
「君って誰だっけ」
「え?」
女の子の動きが止まった
「どっかでみた気がするんだけどな」
「……」
それを聞いた彼女は、何も言わずこっちにきて、俺の上で馬乗りになった。
そして、上から肩を押さえつけて、俺の身動きを取れなくした。
「おい、どうしたんだ」
「私は……」
奴は表情は変わらず落ち着いていたが、体全体から何か鬼気迫るものを発しているように見えた。
「私の名前は、梶原結花。性別は女性。好きな食べ物はリンゴで嫌いな食べ物はキムチ。座右の銘は有言実行で、スリーサイズは上から順に」
「あー、分かったから放せって!」
「……思い出してくれた?」
「あ、ああ」
実は全く思い出せなかった。
だが、一端落ち着かせるためにそう言った。
「なんだ、また調子が悪いのかと思って驚いたよ」
「また?」
「ううん、なんでもない」
そういった結花は俺の上から降りて、隣のベッドに腰を降ろし窓の外を見た。
「ねえ見て、もう夕方だよ」
そこには夕焼けでオレンジ色に染まったグランドがあった。
「さっき、青空が好きって言ってたけど。夕焼けはどうなんだ?」
「もちろん好きだよ。なんか一日が終わるんだな……って感じがして。それはちょっと寂しいけど、終わりってものがあるから、美しく感じるんだと私は思うんだ」
「終わるから美しい……か」
俺は、もしずっと空が青いままだったら、多分どんなに素晴らしくても飽きていただろうと思った。
青空があるから、夕焼けを美しく思える。
夜があるから、朝のよさを知ることも出来る、
そう思った俺は、結花にこう言った。
「そうだな。空も人間と同じで、色んな奴がいるから、魅力的に見えるものもあるんだな」
「そうだね。私もそう思う」
結花がどこか寂しげに答えた。
その姿を見て俺は、一つ思い出したことがあって、あいつに聞くことにした。
「……話が変わるが結花。俺が屋上で倒れたのは分かったが、どうやってここまで運んだんだ」
「私が背負って運んだんだよ」
……怪しい。結花の小さな体で俺を運ぶのは無理なはずだ。
絶対何か隠している。
そう思った俺はあの屋上には、何かこの世界のヒントが隠されているのではないかと推測した。
「そろそろ帰ろうか?」
そういった結花が、自分のかばんを取るために後ろを向いてしゃがんだ。
今がチャンスだ!
それを見た俺は、一目散にベッドから飛び出して、この場から逃げだした。
「あ、待って!」
「悪いが、行きたいところがあるんだ!」
そう言って俺は保健室を飛び出して屋上へ向かった。あそこにいけば、また何か思い出せるかもしれない。
俺は、このチャンスにかけることにした




