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限界の先、繋がる一撃

カイルの体から溢れ出す青い光の筋。それはユーマが「魔眼」を通じて送り込む、膨大な演算結果と魔力の奔流だった。


「おおおおおっ!」


カイルが手斧を横一文字に振るう。

【努力の魔眼・共鳴:命中精度・破壊力を極限まで補正】

鈍い衝撃音と共に、黒角熊ブラックホーン・ベアの硬い皮膚が裂け、鮮血が舞う。


だが、主も黙ってはいない。

深手を負いながらも、熊は狂ったように巨体を回転させ、周囲の木々をなぎ倒しながら暴れ狂う。


「カイル、下がれ! ――『衝撃インパクト』!」


ユーマが残された魔力のすべてを振り絞り、熊の足元で土を爆発させる。

一瞬、熊の動きが止まる。その隙にカイルがさらに一撃を叩き込むが、熊の角がカイルの脇腹をかすめた。


「ガッ……! まだだ、まだ止まねえぞこの化け物!」


死闘は数分に及んだ。

ユーマの魔眼は過負荷で視界が赤く染まり始め、鼻から血が垂れる。

カイルの呼吸はもはや悲鳴に近い。


(あと一撃……でも、もう魔力が……!)


ユーマの魔力が底をつき、共鳴の光が消えかかる。

それを察知した熊が、最後のあがきと言わんばかりに、全身の重さを乗せて二人に飛びかかってきた。

回避は不可能。カイルは動かない脚を必死に踏ん張る。


その時だった。


「――『重力障壁グラビティ・ウォール』!」


どこからか響いた凛とした声と共に、二人の前に目に見えない「壁」が出現した。

ドォォォォン!!

激突した熊が、まるで見えない壁に押し潰されるように地面に叩きつけられる。


「……っ、誰だ!?」


ユーマが顔を上げると、そこには村人とは明らかに違う、洗練された装備に身を包んだ少女が立っていた。

年の頃は14、15歳。透き通るような銀髪をなびかせ、手には精巧な意匠が施された杖を握っている。


「……トドメは、あなたたちに譲るわ。その『執念』に免じて。」


少女が杖を振ると、熊の巨体がさらに地面にめり込み、動きを完全に封じられた。


「カイル、今だ! 僕の最後の魔力を全部乗せる!!」


ユーマは意識を失う寸前の集中力で、カイルの背中を押し出す。

光り輝く最後の一撃。

カイルの手斧が、熊の眉間――唯一の急所に深く突き刺さった。


断末魔の叫びすら上げず、影の森の主が、ゆっくりと、しかし確実に物言わぬ肉塊へと変わった。


「……はは、やったぜ……本当に、倒しやがった……」


カイルがその場に大の字に倒れ込む。

ユーマも膝をつき、肩で息をしながら、助けに入った少女を見上げた。


「……君は?」


「通りすがりの、ただの『観測者』よ。……でも、黒髪のあなた。その『瞳』……面白いものを持っているわね。」


少女は不敵に微笑むと、倒れた熊には目もくれず、森の奥へと歩き去っていこうとした。


「待って……!」


ユーマの声も虚しく、彼女の姿は霧の中に消えていった。


名前:ユーマ

LV:10 → 13

固有スキル:努力の魔眼 LV3(完全定着)

【称号:限界を越えし者 を獲得】


ルミナ村の少年二人が、森の主を討ち取ったというニュースが広まるのは、それから間もなくのことだった。

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