水族館④
秋月穂香のスカートが捲られた事で、気まずくなっていた雰囲気は一転して一気に思いっきり休日を楽しみに来た若い男女のグループと言った本来想定した目標レベルまで達した。
我ながら、まったく男は単純な生き物だと思う。
秋月穂香に謝っている鈴木麻衣子を見た時、山岡沙希の鋭い視線が俺に当てられているのが分かった。
その目を見た時に最初は一瞬怒っているのかと思ったが、直ぐに違うと分かった。
そう、彼女の目は俺に何事かを訴え掛けている。
その事に気が着いた時、山岡沙希と鈴木麻衣子の二人の行動の意味が分かった。
二人がとった行動とは、今回のミッションを成功させる為の行動。
ただ遊びに水族館に来ている俺たちとは違う決意が二人だけではなく森村直美にもあったのだ。
だから、森村直美は、そのジレンマで三木に辛く当たったし、山岡沙希と鈴木麻衣子は周囲も気にせずに歌を歌いスカートも捲った。
俺は、まだ鋭く注がれていた彼女の視線に向かって同じように真剣な視線を返す。
時間にしては一秒か二秒だったが、その間にお互いの意思伝達は出来た。
『任せろ!』
俺も俺なりに、今日の目的を成功に導くために努力して見せる。




