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曲がり角の向こうに君が居てくれた  作者: 湖灯


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水族館⑤

 そのあと未だ時間は早かったが、今回の水族館行きで最も楽しみにしていたイルカショーが行われる会場へ皆で向かった。


 俊介と並んで歩いていると、後ろにいる秋月穂香と鈴木麻衣子が何やら話しているのが聞えた。


 小さな声だったので何を話しているのかは分からなくて振り向くと、山岡沙希の視線とぶつかる。


 森村直美と話をしている山岡沙希の視線には、さっきの目の鋭さはもうなかった。


 不意に鈴木麻衣子と秋月穂香の二人が俺の直ぐ横を順番に走りながら通り抜けて行った。


 鈴木麻衣子を追いかける秋月穂香が俺の横を通り抜けたとき清涼感溢れる風が起きて、その風に乗ってシャンプーの好い香りが届けられた。


 そしてその香りが、目の前を走り抜けていく彼女の後ろに透明な空色の軌跡を残す。


 俺から見た秋月穂香は、いつも可憐な妖精だった。


 森に住む妖精は人の目に留まらぬように暮らし、人と交わる事を避ける。


 俺は、その妖精を見つけてしまい恋に落ちた。


 それは、決して叶う事のない恋なのかもしれない。


”無理を通そうとしても、通らない”


 だから俺は決める。


 この可憐な妖精を見守り続ける事を。


 それは俺という人間が、最大限出来る事。


 これ迄そうして来たように。


 そしてこれからも。

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