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曲がり角の向こうに君が居てくれた  作者: 湖灯


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夏目書店⑦

 俺も同じタイミングでショートケーキを食べ、紅茶を飲む。


 そのとき山岡沙希が紅茶のカップを持ったままこっちを見ている事に気がついた。


 目が合うと山岡沙希は


「で?」


 と再びさっきの問いかけをしてきた。


『で?』の意味が阿久津俊介と秋月穂香の関係に、どう係わるのかという質問だと分かっていたので、今度は正直に「分からない」 と答える。


 本当に、親友の俊介を応援するべきなのか、それとも秋月穂香の気持ちが阿久津俊介に惹かれている事が分かった今でも、まだ我を通して恋心を貫くのか、どちらにすれ良いのか分からない。


「先回りしてみるとか」


 不意に山岡沙希から、意味ありげに言われた。


 俺は少し考えてから、迷いは確かにあるが、万が一旨くいっても一生引きずるような負い目は持ちたくないとだけ言っておいた。


 これは夏目漱石の小説”こころ”の主人公と同じ過ちを犯したくない意味だったが、むろん山岡沙希には分からないだろうと思っていた。


 最後にもう一つ質問していいかと言われたので構わないと答えると


「もしも、進藤のこと好きな女の子が居たらどうする?」


 と唐突な質問をして来たので、分からないとだけ答える。


 山岡沙希は「ふぅ~ん」とだけ返事をして、何事もなかったように紅茶を口に運んだ。


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