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WHITE LIE  作者: うさぎさん⭐︎
エピソード2  死に神のウィープ

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8/15

1 空音のメロディー

 この世は嘘だらけ。綺麗なものなんて一つもない。誰一人信じられる奴なんかいない。

 溢れるのは空音そらね空音空音。

 ついうっかり本音なんて漏らしてごらん、嗤われるだけさ。


 落ちてきそうな赤い満月を見上げながら、屋根に腰かけて、ヘヴンはハーモニカを吹く。

「…………綺麗なもの」


 本音と空音の見分け方──……君は知っているかい?

 本音を嗤われ、空音に紛れて生きていく。

 昨日の友は死して、踊るは哀れなくぐつたち。

 だけど君。君はどうだい? 君は本当に綺麗? その心は偽りなき宝石? 

 くぐつは君のほうじゃないのかい?

 落ちこぼれのドールは、膝を抱えて涙する。

 ハーモニカの吹き方がわからないの。

 どうしてみんなあんなにうまくメロディーを奏でられるの?

 ねぇ、ハーモニカの吹き方を教えて?


 ハーモニカから口を離し、ヘヴンは独り呟く。

「しかし果たして、そのメロディーを覚えてしまったら──」

 

 嘘つきなくぐつたちが幸せか。

 嘘のつけないドールが幸せか。

「……くだらない」


 この世は嘘だらけだ。できのいいくくうも、落ちこぼれのドールも、所詮は嘘の塊だ。

 なのにどうしてときどき信じてしまいそうになるんだろう。

 嘘のつけない無垢なドールを。

 できそこないの、スクラップド・ドール。

 嘘がつけなきゃ、生きていけないのに。


「くだらない。そんな廃棄人形、くだらない」

 ヘヴンはボロボロのハーモニカを投げ捨てる。

「オレは、そんな、子供じゃない」

 大人が幸せか子供か幸せか、そんなことどうでもいい。

 オレはヘヴン。それが真っ赤な嘘(ホワイト・ライ)でも。

 オレには綺麗な綺麗なケイオスがいる。

 綺麗で綺麗で汚れて汚れて、嘘つきなケイオス。

 傷だらけの宝球クリスタル。だからこそ美しい。


 傷のないドールは、スクラップ。

 傷を作れない哀れなドールには、誰も綺麗だとは言ってくれない。

 本音も空音も、風の中に紛れていく……


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