ep.4 Honeypot
オレは地下鉄と新幹線を乗り継ぎ、午後8時に三島邸付近の公園に到着した。そのまま公衆トイレに入り、鞄からノートパソコンを取り出す。
そして、三島邸内の防犯カメラをハッキングし、室内を確認した。
――見つけた。
Unreal USBは、二階の大広間にポツンと落ちていた。鑑識はもう終わったようで、警察は一人もいなかった。
オレは地図アプリを開き、公園のトイレからUSBの位置までの距離を割り出す。
――距離は把握した。後はオレの位置座標を書き換えれば......
次の瞬間、視界が歪み、オレは計算通りUSBの目前に立っていた。
床に落ちたそれを拾い上げ、即座に元のトイレへと戻る。
続けて、防犯カメラの映像を上書きし、痕跡を消した――これで完全犯罪の成立だ。
手にしたUSBには、『SIZE』の文字。
SIZE......このUSBは、オブジェクトの寸法を書き換えることができるのだろう。三島はおそらく、シャンデリアの寸法を大きくしすぎてしまったのだ。......笑えない話だ。
試しにUSBを体内に取り入れると、MOVEとは系統の異なるプログラムが、内部で展開されていくのをはっきりと感じた。
オレはトイレットペーパーを一枚ちぎり、その値を書き換えてみた。
すると、予想通りトイレットペーパーは大きくなったり小さくなったりした。さらにMOVEを併用し、移動できることも確認できた。
Unreal USBは、複合使用できる。
――さてと、USBの回収も無事済んだことだし、そろそろ帰るか。
オレはトイレのドアを開け、外へ出た。
それから約2時間後、オレは自分の住んでいる3階のアパートに帰宅した。
脳も体も、今日はよく酷使した。今度こそ寝よう。
―――
午前0時、突然のスマホのアラームにより目が覚める。
このアラームは、先の三島航氏のような重大なニュースが発表されたとき、自動で鳴るように設定したものだ。
オレは無理やり身体を起こし、重い瞼を擦りながらスマホを掴む。
そこには信じがたいニュースが載っていた。
『NASA衛星にサイバー攻撃か 当局が調査開始』
『新幹線ホームの防犯カメラに不正アクセスの疑い 原因は保守端末のマルウェア感染の可能性』
――新幹線。今日、オレが乗ったやつだ。
オレの行動と同時刻に発生した2件の大規模攻撃......偶然のはずがない。
まさか――
オレは背筋が凍る――と同時に
「パリン!」という窓ガラスが割れる音とともに、一人の少女が部屋の中に入ってきた。
「ヤッホー、第2位――コロしにきたよ☆」




