Whisper of the shadow
光の庭園を進む三人の前に、ふと影がざわめく一角が現れた。
木々の影が長く伸び、風に揺れるたび、誰かの囁きのように聞こえる。
「……この影、なんだか不気味だな」
アレンは小さくつぶやく。
チェシャは好奇心旺盛にその影へ近づくが、目は少しだけ警戒している。
「ふふ、面白そうじゃん。でも……気をつけたほうがいいよ、鍵くん」
チェシャの笑顔は明るいが、耳元にささやく声にはほんの少しの不安が混じる。
ホワイトは慎重に立ち止まり、影の動きを観察する。
「油断は禁物だ。迷いの影は、心を試す」
その静かな声に、アレンは無意識に二人の手に触れた。
チェシャとホワイト、どちらも自分を守ろうとしてくれていることを感じる。
影が揺れるたび、アレンの心にも不安や迷いが波のように押し寄せる。
迷宮を越えたはずなのに、まだ心の奥に残る恐怖――
そして、二人への恋心が入り混じり、胸がぎゅっと締め付けられる。
「……俺、どうすれば……」
アレンはつぶやき、深呼吸をする。
チェシャがそっと肩に触れ、いたずらっぽく囁いた。
「迷ってもいいんだよ、鍵くん。ボクはここにいる」
ホワイトも静かに手を伸ばし、アレンの手を包む。
「君が決めるまで、僕は君の側にいる」
三人の手が重なる瞬間、影の囁きは少しずつ遠のいていく。
じれじれで甘い感情が胸の奥に広がり、アレンは安心感と決意を同時に抱く。
「……ありがとう、二人とも」
アレンの言葉に、チェシャはくすくすと笑い、ホワイトは穏やかに微笑む。
光の庭園に残る影は、まだ完全には消えない。
でも、三人で向き合うことで恐怖や迷いは和らぎ、心の絆はさらに深まった。
三人は影を越え、月明かりに照らされる庭園の道を進む――
じれじれで甘く、でも確かな信頼と恋心に包まれながら。




