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講習

 朝食時、母さんにこれからの事を尋ねられた。

 世界が変わろうと、その瞬間にその日本に居なかった私は改竄されていない。

 つまりは人の中は生き辛い。

 それでも人と関わる事を皆無には出来ないけれど、極力人の群れの中に居たくない。

 つまり探索者養成学校クレイドルに入学したく無いと思ったのだ。

 そうなると、異能力を持って帰還した私は探索者になるしか道はなく、未成年の私が冒険者になるには親の同意が必要で、スッと母さんが同意書にサインをした同意書それを出してきた。


 私がダンジョンに現れたのは微弱な空震の影響で飛ばされた――神隠しにあったと言う設定になった。

 強さ? ほら、それはスタンピードを終わらせた英雄の娘だからと言う理由にした。

 修行をつけた娘を満を持して探索者デビューさせる計画が前倒しになった、と言う設定だ。


 そしてマンションから最寄りの空震ダンジョンが管理されている探索者ギルドに来て、受付で登録を願いでて、同意書を渡し、講習会に参加する事になった。


 


 空震が起きた区間は様変わりしてしまった。

 空間断裂――つまりは空震ダンジョンに一般人が迷い込まないように、あるいは故意に入らないように建物――探索者ギルドを建て置いて監視している。

 そしてその周囲には探索者の為の武器防具屋、魔導具、ドラッグストアが出来、なるべく異能者を住まわせるべく住居も建ち並んでいる。


 突然目覚める異能力。

 空震ダンジョンが現れて10年経っても、ダンジョンの恩恵で経済や技術が回り上がっても、異能力に目覚める前を知る世代おとなや、目覚める気配のない世代には忌避感もあり、恐れる傾向がある。


 特区は異能力者が住みやすい街でもあると同時にスタンピードで一番被害が出る場所。

 それでも空震ダンジョンに挑むのは魔物を斃した時にドロップする魔石やアイテムが時には億単位の値が付いたりするから。

 

 ――ハイリスク、ハイリターン。億なんて値が着くアイテムをドロップする魔物が弱いわけがない。


 結局一攫千金を狙うなら危険を承知で深層に潜るしかない。


 ――浅層でも小遣い程度にはバイト以上に稼げるけど……。


 武器に防具屋、魔導具に回復薬どれもこれも安いものでも最新ゲーム機が全種類買える値段。


 探索者登録すれば初心者スターターセットとして武器防具一式を格安――2万くらいで買えるみたい。

 それで潜れるのは精々浅層の1から2層程度。

 それも最低限の強化を行なってだ。そうでなければ階層ボスの攻撃には耐えられない。

 強化も只では無い。

 はっきり言って割に合わない。

 周回で雑魚狩りしても武器防具の修復にも費用が必要。

 それを怠れば死ぬ。初心者での死亡率が上がる要因がこれだ。

 もう一つは慢心。自分は大丈夫だと言う自信。


 探索者稼業は副業で行っていると言う探索者も多い。 空震ダンジョン国でありながら上級探索者が少ない理由がこれ。


 それが私の様な探索者養成学校クレイドルを卒業せずに探索者になる人の安全な探索の行い方。


 クレイドル卒業生でも資金と言う敵は如何ともしがたい悩みなのだとか。


 忘れていたけど、配信用のドローンカメラ。

 これは探索者ギルドでレンタルも出来る。レンタル料は5000〜20000万円と幅広い金額だ。

 購入すると50万以上する。


 政府から助成金が出るとは言っても、これだけでも探索者と言うものへのハードルは高い。


 お金の工面をしてどんなに初期装備を揃えても、浅層で浅層の魔物だけが出現する、と言うのはあり得ない。

 低確率の瘴気濃度上昇によって中層や下層の魔物が出現する確率が在る。


 講習会を受け持つ女性探索者の説明を纏めるとこんなところ。


「それでも探索者になるって方は残ってください」


 講習会の先生は私たちを見渡す。


 私を含めて講習会に参加したのは6名。


「全員残りましたか。それでは、これから実際にダンジョンに潜って、そこがどう言う場所なのか実感してみましょう」


 木刀と革張りの盾と回復薬が配布された。


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