第七声 野獣を飼い慣そう
朝昼と残念ながら昨日狩りをしたボアスの肉である。
もちろん不満が出ます。
「肉ばっかりじゃお腹に重いよ、ナビ君何とかして」
そんな訳で、平原から森に差し掛かったので果物とかキノコとかを探す。
なんという幸運なのだろうか、コロンカの実を発見した。
あれはとても美味しい。
「クリス様、そこの木の上にコロンカの実がなっていますので取りましょう」
でもそんな話は聞いてくれない。
「無理!!、あんな高いところは取れません」
「今木登りの練習した方がこれからの旅には有益ですよ」
「だから、無理ってば、ダメ、絶対駄目だから、服汚れるし」
服汚れるって、それ言っちゃ~あ、お終いだよクリス。
ダメだ。
そうか、野獣だ、野獣を使役するんだ。
クリスのチート能力を思い出した。
そうだ武具も彼女に合わせて強くなっているし、野獣だって今の段階で使役できるんじゃないか?
野獣さえいれば簡単に木に登って実を取って来てくれるに違いない。
「クリス様、このような時に僕の野獣がおりますと良いのですが?」
「僕の野獣?・・・ああテイマーみたいなことをすると云う意味ね」
「そうです、クリス様は剣も手に入れたのです、きっと僕も使役できることでしょう」
「う~~ん、そうね。一人だと何かと大変だしね。
じゃあ僕を探そうかしら」
そうは言ったものの、探すと出てこないのが野獣です。
それと、人前にひょいひょい出てくる野獣なんて凶悪な奴だろうから、出てこない方が良いけどね。
「居ないね、それよりお腹すいたから何か食べたい!!何とかしてナビ君」
ナビは食事を出したりできません。
クリスは何か勘違いしているよ。
そうも言ってられないので検索開始。
よしよし、いくつか美味しく食べるための手立てを考えたぞ。
「そこの木の間に変わった葉っぱが見えますか?
その葉っぱで肉を包むと美味しくなりますよ。
それとこちらの小さな実がなっている植物ですが、美味しい香辛料になります。
そしてそこの白い石のようなものは岩塩です。
それらを集めてください」
「岩塩と香辛料は石で潰して少し荒くてもいいのね。
これを肉にまぶすのね。
それとこの葉っぱで肉を包むと完了。
この葉っぱ、なんかいい匂いね」
「この葉っぱは殺菌作用もあるので、肉を長持ちさせます。
少し味を引き締めるのに岩塩と香辛料です。
そして一時間ほど包んでおけば肉は自然と干し肉のようなそれでいて柔らかい加工食となります」
ここでハムとか言えないのがこの世界の常識の壁だな。
明らかに水分を調整しながら葉っぱの成分と置き換わる。
薄く切れば生ハムと同じ触感の美味しい食べ物が出来上がる。
腹ペコのクリスは出来上がるのが待てないのか摘み食いを始めた。
「少しつまみ食いと・・・美味しい、時間が経てばもっと美味しくなるわね。
なんか生ハムのようね」
「生ハム?何ですかそれ?」
知っていて知らないふりも大変だった。
狙った味になりそうで何よりです。
「あっ!!」
「どうしました?」
「ペンギン見っけ!!、あれを僕にしよ!!」
「いや、いくら何でもペンギンはダメでしょ・・・」
つられてペンギンと言ったが?
考えて見ればこの世界にペンギンはいない?
良く見るとアクア系の鳥類だろうか?
でも見かけはペンギンだった。
クリスは急いでペンギンに付いて行く。
「どうやったら僕に出来るの?」
そう聞かれると困る。
剣の時も予想を超えた出会いとレベルの上昇があった。
では今回も同じではないだろうか?
レベル1でもないが使役したいと願えばないか変化がある可能性はある。
クリスのチート能力が発揮されることを期待して教えて見た。
「私の僕になりなさい」と言って見て下さい。
「それだけ?」
「クリス様にはその素養があります。
そうすることで『猛獣使い』が発動すると思われます」
本当はそんなことはありえないと思いながら、そう教えた。
クリスは逃げるペンギンに追いかけながら話しかけた。
「ペンギンさん、貴方、私の僕にならない?」
言い方がちょっと違っていた。
あれ?
クリスに『猛獣使い』の役割が追加された、それもレベル3だった。
どういうことなんだろう?
そう思っているとペンギンの首周りに紋章が浮かんできた。
そしてクリスの肩にペンギンの小さな可愛いマークのようなものが浮かんだ。
やがてペンギンは立ち止まりこちらを向いた。
「ふぇ~~~ふぁふぇ・・」
何か言っていた。
「ねえ、ナビ君、この子なんて言っているの?」
分からないよ、俺だってペンギン語なんて習っていなよ。
でもペンギンなんて役に立つのかな?
「何て言っているのかまでは私にも分かりません。
でも僕としての契約は出来たようです。
またクリス様は『猛獣使い』レベル3になりました」
「最初からレベル3なの?
何が出来るの?」
「レベル1は役割の枠だけですが。
レベル2で契約できる能力です。
そしてレベル3は僕への命令です。
クリス様の言うことが僕に分かるはずです」
「ほんと?
命令して良いの?
やってみよ!!」
そう言うと少し考えるとクリスは大きな声でペンギンに命令した。
『ぺリル、美味しいご飯取って来て、お願い!!』
その言葉と共にペンギンは姿を消した。
「ぺリル?」
「良い名前でしょ、今考えたの」
名前なのか、ペンギンでぺリル?
何の関係もなさそうだ?
ぺリルが返って来た。
それも大きな川魚を2匹と中くらいのエビを3匹取って来ていた。
「大量じゃない、一緒に食べましょ」
クリスの凄いところだ。
何も言わなくても僕に褒美を与える。
よくできた主人かもしれない。
ただ、恐ろしいことを思い出した。
この世界にペンギンみたいなものはいないんだ。
アクア系の鳥類・・・・でもあんな恰好はしていない。
もっとカモみたいな姿をしているはずだ。
もしかすると『あれ』かもしれない。
もし『あれ』だと後々面倒に巻き込まれそうな気がする。
はははは、無事に商業ギルド迄着くか不安になって来た。




