第四声 ご飯を食べられる喜び
「ナビ君、これも食べられるの?
なんか変な形だよ」
クリスは恐々俺のいう植物やキノコを採取していた。
「お腹すいたよ、早く食べたいよ・・・」
そんな弱音を吐きながらも、クリスは一生懸命採取していた。
実は、まさか食事準備にこんな時間が掛るとは思っても居なかった。
何故って?先に実施していた小動物を捕まえるのは無理と判断したからだ。
彼女の今のレベルは1であるが、本当に何の役にも立たなかった。
ちなみに剣士レベル1ということで彼女自体のレベルも1である。
クリスのスキルは取得した職業スキルの最大のもので計測することになる。
そうこうしているとクリスが我慢出来なくなって来たようだ。
「ナビ君、もう食べても大丈夫だよね。なんか暗くなって来たよ。ねえナビ君」
「そうだね、食べ物はこのくらいで、後はさっきの釣りをしようとした池で水を汲んでくれば準備は終わりかな。あとは焚火の準備をして調理すれば食べられるますよ」
「まだ調理するの?この葉っぱならサラダで食べても良いんじゃない?」
「だめです、虫が潜在しているかもしれません」
クリスは葉っぱを投げ出した。
「えっ、虫!?」
「大丈夫です、そんなに害がある訳ではありませんよ」
「でも虫は嫌だ・・・」
「では、お腹がすいても我慢してくださいね」
「やっぱ食べる」
クリスは水を汲んで来て食材の準備は完了した。
「では薪を集めしょう」
「え~~~っ、また集めるんですか?」
「そうです、乾いた枝を探すか、手っ取り早くあそこに立っている細い枯れ木を倒して薪を作るんです」
「全然細く無いじゃない」
「でも、薪は相当数必要ですよ、朝まで火を絶やしてはいけませんから」
「火を絶やすとどうなるの?」
「多くの野生動物がクリス様めがけてやってきます」
「いや~~~~っ、ぜ~~~たいに、いや!!」
「じゃあ薪を集めましょう・・・」
涙目のクリスはそれでも枝を集め始めた。
でも草原に落ちている枝の量は少なかった。
「この量では明日まで掛かっても必要量には成りません。やはりあの枯れ木を倒しましょう」
「どうやって?」
「ほらあなたには大きな立派な剣があるじゃないですか」
「でも木なんか切ったことは無いし、まだあの剣は刃が無いって言ってなかった?」
「大丈夫です、斧の刃はそんなに尖ってなくてもある程度鋭角であれば良いんです。
要は固くて重いことが大事なのです。
それにおあつらえ向きにあなたはあの重い剣を全力で振り回すことが出来るのですよ。
多分あの程度の細さなら簡単です」
実はあんまり自身は無かった。
だって細いと言っても直径ニ十センチは簡単にあった。
「そこまで言うなら、やってみる。でもお腹すいているから力は出ないよ」
クリスは剣を持ち上げた。
レベル3になった剣はクリスに扱いやすいようにクリスには軽くなっているのだろう。
だが実際には普通では考えられないくらい重い剣なのでちょいと振れば相当な威力である。
クリスは思い切り木に向けて振りかざした。
バッギ~~~~ッ
枯れ木は途中で折れ曲がった
「やった!!」
その様子を見たクリスはガッツポーズをする。
「もう一息です、今度は逆から行きましょう」
クリスは言われるままに逆方向からもう一度剣を木に向けて振りかざした。
バキッツ
木は途中からぽっきり折れて地面に落ちた。
「では小さく縦に割ってあとは適当な大きさになるように折ってきましょう」
クリスは言われるままに木を薪になるような大きさに割って行った。
きっとクリスは思いのまま割れる薪割りが楽しかったのだろう。
それが証拠にあんなにうるさかったのに、お腹がすいたとは言わずに一心にやっていた。
薪を作るために木を縦にしたり横にしたりして剣で切っているだけだったが・・・・
剣のレベルが上がり始めた。
その上剣士レベルが上がって来る。
「クリス様、剣のレベルが4になり、クリス様の剣士レベルが2になりました」
「何が出来るの?」
「剣は自由形状という能力を持ったようです。大きさを幾分変更できるようです。
それとクリス様はフォーミングの技を習得したようです」
「やってみよ」
クリスが念じるだけで剣は少し大きさを変えた。
「この大きさはロングソードとかいう剣かな?これなら普通の剣の大きさね。私が持っていてもおかしな大きさではないわね。
それとフォーミングはと・・・エイッ」
ロングソードを垂直に振り落とすと、薪が一気に縦に裂けた。
「凄いですクリス様、剣をブレることなく最も薄くなる方向に固定化し真っすぐに振り下ろせております」
「そうなんだ、それがどんなことかは良く分からないけど」
クリスは面白くなったのか、お腹が減ったことも忘れて、その後も多くの薪を作った。
最後に細い木切れを適当な長さにして二本作ると、慎重に細かく磨くようにして何かを作っていた。
「出来た、私のお箸!!」
「見事なお箸ですね」
「こっちの世界でもお箸ってあるの?」
しまった、そんなものは無い、咄嗟に言い訳してしまった。
「いえ、そう言えばアーチャル地方に似たようなものがありましたよ・・・」
とりあえず言い訳の説明をさせられる前に焚火を始めよう、そうすれば食事になるからクリスも忘れるだろう。
「クリス様、薪きは出来たので早速火を付けましょう」
「そうね、どうやるの?」
「まずは細いすぐに火が付きそうな枝を空間を開けながら並べてください。
その上に少しずつ大きな木を置いておきます。
そうそう火を付けるところは木くずや削りカスのようなものを置いておきましょう。
さて火種ですが、木をこすり合わせて・・・
というのは上級者がすることなので、これはやめましょう」
木をこすり合わせて火が起こせるというのは上級者だ。
そんな簡単ではない。
何かないかと思ったところに剣が目に入って来た。
あとはメノウのような石があれば良いので場所を教えないようにクリスに探させた。
「では石を剣で擦るように叩いてみてください」
何度かやっていると大鋸屑に火が付いた。
後は燃え上がるのを待つだけだった。
「やったわ~~~っ」
クリスは火が燃え上がることで達成感に感激していた。
後は長い枝に野菜の葉っぱやキノコを挟んで焼くだけだった。
「何とか食べ物にあり付いたわ、長かった」
なんか感動して泣いていた。
さて呑気な人だった。
これから眠らなければならないことを考えると大変なことだ。
火は絶やせないのに眠らなければならない。
だがもっとおかしなことが起こっていた。
実はさっきから索敵反応がある。
ただクリスのレベルに合わせなければならないので、この報告は出来ない。
「おかしい、このレベルの野獣がこのレベルの主人公と遭遇するはずが無い」
俺の危機感も高まって来ていた。




