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第5話「卒業の日まで」

※本作は、

まだ古い学校の空気が色濃く残っていた頃の、

学校空間の記録です。


過去に起きた出来事を、

映像記録のような感覚で綴っています。


当時実際に使われていた方言表現や、

当時の言い回しをそのまま残している箇所があります。


また、

重苦しい描写や精神的圧迫を含む表現がありますので、

苦手な方はご注意下さい。


※当時の空気をそのまま体感してもらうため、

感情表現は極力削り、

事実の断片を中心に並べています。

戦々恐々とした空気は、

卒業の日まで消えなかった。


『卒業できなくなる』


『就職内定が取り消しになる』


教師たちは、

そうした言葉を口にしていた。


そのやり方は、

すでに両親の逆鱗に触れていた。


留年が決定したら、

すぐ知らせるように。


私は、

そう両親に言われていた。


そして、

勉強をしながら、

体育教師を見張るようにも言われた。


双方の睨み合いは、

卒業の日まで続いた。


誰かが笑い、

誰かが黙り込み、

誰かが俯いたまま、


季節だけが過ぎていった。


様々な噂を流されることもあった。


どんなに

否定しても、

信じてはもらえなかった。


『裏口入学のくせに』


『裏口入学の分際で学校へ来るな』


『教科書に触るな』


そんな言葉が、

教室や廊下のあちこちから聞こえてきた。


誰かが笑う。


すると、

周囲もつられるように笑う。


私は何も言い返さず、

ただ席へ座るだけで、

疲弊していた。


笑い声だけが、

いつまでも背後から追いかけてきた。


笑う側。


笑われる側。


黙って見ている側。


いじめの標的が、

別の生徒へ向くこともあった。


私の友人が、

登校しなくなった。


その子の家の外で、


『あいつがいる限り、

学校には行かない』


その言葉を聞いた。


外では、

西日の太陽が、

私たちを照らしていた。


それでも、

あの子の周りだけは、

時間が止まったようだった。


間もなく、

その子は自主退学した。


次の日も、

誰かが笑い、

誰かが黙り込み、

誰かが俯いていた。


凍てつくような空気のまま、

春を迎え、


私は学校を卒業した。

当時、


この件は両親の逆鱗に触れており、


留年が決定した場合は、

すぐ知らせるよう

言われていました。


私は、


学校内の状況を

家庭へ伝える立場でも

ありました。


今振り返ると、


学校と家庭の間に立ちながら、


卒業の日を

迎えていたように思います。

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