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最終話「異国の風」

※本作は、

まだ古い学校の空気が色濃く残っていた頃の、

学校空間の記録です。


過去に起きた出来事を、

映像記録のような感覚で綴っています。


当時実際に使われていた方言表現や、

当時の言い回しをそのまま残している箇所があります。


また、

重苦しい描写や精神的圧迫を含む表現がありますので、

苦手な方はご注意下さい。


※当時の空気をそのまま体感してもらうため、

感情表現は極力削り、

事実の断片を中心に並べています。

その後、

私は高校の推薦を受けたが、

不合格となった。


そのため、

一般試験を受けて短大へ進学した。


就職や推薦進学が中心だったため、

一般試験を受ける生徒はほとんどいなかった。


担任が言うには、

私は例外だったらしい。


短大卒業後、

広い世界に触れる転機が訪れた。


身内の節目を祝うため、

私はヨーロッパへ行くことになった。


姉の通訳を通して、

私は高校時代に起きた出来事を話した。


その教師が、

私たちの卒業後、


公立高校へ赴任し、


その後、

組織の階段を上り、


今も責任ある立場にいることも伝えた。


話を聞いた彼らは、

信じられないというように目を見張った。


一人が、

両手を広げた。


そして、

ゆっくりと首を横へ振った。


その姿を見ながら、

私は高校時代を思い出していた。


『単位』


『卒業』


進路に関わる書類。


黒いA4ファイルを手にした教師の姿が、

妙に怖かった。


『謹慎』


『停学』


『退学』


その言葉が出た瞬間、

教室から音が消える。


誰も、

逆らおうとしなくなる。


冷たいコンクリートの階段。


熱に浮かされた体。


荒く途切れる息。


黒いA4ファイル。


泣き声だけが響く教室。


窓の外は、

まだ明るかった。


だけど、

あの校舎の中だけは、


古い時代の空気が、

ずっと薄暗く残り続けていた。



とある一室にて。


カウンセラーが聞いた。


『あなたは、

この出来事をどう思いましたか?』


私は少し考えた。


「自分のことなら、

まだいいんです」


しばらく沈黙が続いた。


「祖父は、

地域のために動いていた人でした」


それ以上は、

言葉にならなかった。

作中では触れていませんが、

推薦に落ちたことについて、

当時、父は、


「高校の力を借りずに進学できてよかった」


と話していました。


当時の私は、

不合格という結果しか見えていませんでした。


しかし今になって振り返ると、

私自身も、それでよかったのかもしれないと思っています。

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