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第3話「朱の重み」

※本作は、

まだ古い学校の空気が色濃く残っていた頃の、

学校空間の記録です。


過去に起きた出来事を、

映像記録のような感覚で綴っています。


当時実際に使われていた方言表現や、

当時の言い回しをそのまま残している箇所があります。


また、

重苦しい描写や精神的圧迫を含む表現がありますので、

苦手な方はご注意下さい。


※当時の空気をそのまま体感してもらうため、

感情表現は極力削り、

事実の断片を中心に並べています。

教室には、

まだ泣き声が残っていた。


誰も顔を上げない。


『卒業できなくなる』


その言葉だけで、

クラス全体が壊れていた。


泣き崩れている者。


机へ突っ伏したまま、

動けなくなっている者。


小さな声で、


『どうしよう……』


と繰り返している者。


誰も、

先の話をしなくなっていた。


祖父の葬儀の際には、

地域関係者も多く来ていた。


当初、両親は、


『学校にも学校のやり方があるから』


と言い、

学校側の顔を立てていた。


だが、

連帯責任で、


『卒業させない』


『留年』


という話が浮上した途端、


両親の顔色が変わった。


父が、

声を荒げて言った。


『そこまで言うなら、

まずその書類を見てから

物を言え!』


父は、

学校へ提出した書類の話をした。


そこには、

生徒に問題が起きた場合、

保証人にも責任が及ぶ内容が記されていた。


『留年が決まったら、

学校に保管されている

書類を確認するように言え!』


父の話を聞いたあと、

私は、

体育教師から、


『そんなに文句があるなら、

親であるお前たちが、

単位をつければいい』


と言われたことを母へ伝えた。


母が言った。


『私、

教員免許持ってるから、

そんなに言うなら、

私がやるよ!』


母は、

本気でやる人だった。

当時は、

学校へ提出する書類の中に、


生徒が重大な問題を起こした場合、

保証人にも社会的な責任が及ぶことを

前提とした内容が含まれていました。


授業料等に関する保証人とは別口に、

学校へ重大な損害を与えた場合の責任についても

記載されていました。


現在とは制度や考え方が

異なる部分もありますが、


当時の学校空間を記録するため、

そのまま残しています。

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