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5.パソコン部

現在多忙につき、しばらく更新できない状況です。

現在の仕事が片付いたら必ず更新を再開するので、温かい目でお待ちいただけると幸いです…

 あの日からちょうど一週間が経過した。

 あの件が先生たちに知られていないか気になり今日まで夜も眠れなかったが、未だ職員室に呼び出されたりなどは無い。

 バレていないのか・・・?あんなに大それたことをしておいて・・・

 とりあえず、とにかくあいつに説教しないとな。

 授業が終わり、俺は第二コンピューター室へ急ぐ。

 結局俺はパソコン部に入ることにし、数日前に入部届を提出した。

 川島先生に入部届を渡したとき、


「君パソコン好きそうだもんね~」


 と言い、直視できないくらいの眩しい笑顔を見せてくれた。

 例の渡辺は、クラス内では一切話しかけて来ない。

 俺から話しかけようと思ったが、休み時間中は自分の席でスマホゲームに勤しんでいるので話しかけづらい。

 そのおかげで俺は灯里しか話す相手がおらず、お昼休みの時もお弁当を一緒に食べている。

 しかし昨日、恐れていた事態が遂に起こった。

 お昼休みにいつも通り灯里とお弁当を食べていると、


「あいつら、いつも一緒にいるよなー」


「付き合ってんじゃね?」


「入学してまだ一か月も経ってないのに?いくら何でも早すぎだろ!?」


 という男子生徒たちの会話が聞こえてきたのだった。

 俺はため息をつき、席を立った。そしてその連中に近づき、


「あの、俺たち幼馴染なだけなんで」


 と言った。そしたらその連中の一人が


「あ、さすがにそうだよな!?二週間で付き合うとか聞いたことねえよ。変なこと言ってごめんな」


 と言い、さっき付き合っていると言った奴の頭を無理やり下げさせた。

 見かけによらず意外と良い奴だ。仲良くなりたかったが、それを切り出す勇気はなかった。

 席に戻ると、灯里が少し残念そうな顔をしていた。


「放っておけばよかったのに。どうせ自分に仲のいい女子がいないから妬んでるだけだよ」


「まあそうだろうな。でも、悪い奴じゃなかったよ」


 灯里の表情が戻った。幸い面倒ごとにはならずにあっさり解決した。

 そんなこともあってか、少しずつこの学校にも慣れてきた。

 別教室での授業の時に、広い校舎を移動する大変さを除けばだが。


 第二コンピューター室に到着し、ドアを開けると既に先輩たちは集まっていた。

 そして、数人の先輩たちが一台のパソコンを見て、騒がしくしている。


「おい!右右!!!」


「分かってるって!!!」


「左からも敵来てるぞ!!!!」


 どうやら、パソコンゲームに夢中のようだ。

 少し気になり、遠くからモニターを覗くとそこには何故か見覚えのある画面が映っていた。

 美琴が熱中しているゲーム・・・しかも、俺が数週間前にプレイし始めたばかりの・・・

 それを確認した瞬間、俺はその先輩たちの方へ小走りで向かった。


「すみません!!!今ランクいくつですか?」


「151だよ。君もやってんの?」


「つい最近やり始めたばかりなので、まだまだですけど一応やってます!」


「おおー!じゃあ今度一緒にクエスト行こう。パソコン部は活動中にゲームやってても怒られないからな!」


 ドヤ顔で先輩が言ってきたが、正直それもそれで問題な気がする・・・。

 先輩とゲームの話をし終わり、空いている席に座ってしばらくすると、例のあいつがやってきた。


「おーい、0716ー」


「人をパスワードで呼ぶな!!!!」


 こいつは今日も懲りていない様だ。

 隣の席に着いた瞬間、俺は奴に怒りをぶつける。


「先週のこと覚えてるか?」


「忘れた」


 自分から謝ってくれば俺も少しくらいの説教で勘弁してやろうと思ったが、どうやら彼はそれを望んでいないようだ。


「ログ、削除しなかっただろ?あれ、先生にバレて呼び出し喰らわないかずっと心配してたんだぞ。この一週間寝られなかった」


 そう言うと渡辺は腹を抱えて笑った。


「そんなことずっと心配してたのかよ。先生たちもあんなログなんていちいちチェックしてないだろ。それに、この一週間呼び出されてないってことは誰も気付いてないってことだろ?」


 それは確かに納得ができる。気付いていればこの一週間のどこかで呼び出されるはずだ。

 

「それに教員用のストレージにはアクセスしたけど、ファイルの中身を見ただけで編集とかはしてないんだぜ?バレようがないだろ?」


 完全に論破された。まあ、大事にならなかったし許してやるか。

 

「まあしかし、この一週間寝られなかったのによく授業中居眠りしなかったよな?今日は寝られた?入学式の悲劇から教訓を得たか?」


 渡辺の一言でそんな気は完全に消え失せてしまった。

 完全に怒った俺は、席を立ちドアの方へ向かう。


「もう知らん。帰るわ」


 捨てるように言葉を吐き、俺は帰ることにした。

 しかし、ふざけたやつだ。人に迷惑をかけておいて謝罪はない。

 それどころか人を笑い、煽り、さらにはあの忘れたい出来事まで蒸し返してきた。

 もうあんなやつに二度と話しかけるか。俺は心にそう誓った。

 時刻はまだ16時30分。最終下校時刻の18時まで部室に居ようと思ったが、もうそんな気分ではない。

 自転車にまたがり、正門をくぐった。

 

 家に着くと、誰もいないリビングで美琴がまたあのゲームをやっていた。


「おかえり」


「ただいま」


「なんか元気ないじゃん」


 美琴がゲームをしながら小さめの声でつぶやいた。

 さすが俺の妹、なぜ分かった・・・?

 

「新しいクラスにさ、すげえ変な奴がいて」


「どんなやつ?」


「うーん、パソコン詳しいけどデリカシーというか、配慮に欠けるダメなやつ。そいつとちょっとモメた」


 圧倒的な語彙力不足で説明が上手くできなかったが、美琴はすぐ理解したようだ。

 かすかに頷き、少し時間が空いた後に美琴の声が聞こえてきた。


「なんで奴が配慮に欠けてると思う?それは周りがよく見えていないから。じゃあなんで周りが見えていないと思う?それは自分の事で精一杯になってて周りを見る余裕がないから。中にはそうじゃない人もいるけど。そういう奴ってそれを相談できる相手が居ないから自分の中にため込んでしまう傾向がある。だからさ兄さん、寛大な心で許してあげて、そいつの相談相手になってあげなよ」


 すごい。ここまで的確にアドバイスできるなんて、さすがは俺の妹だ。

 美琴の言葉で心が軽くなった。

 もしこの事が本当なら、渡辺は相当心配事をため込んでいるはずだ。

 そんな風には見えないけど。

 来週俺からあいつに話しかけて、この事は無かったことにしてやろう。

 俺はそう心に誓った。


「ただいま~」


 あいつのことを考えていたら、玄関からドアの開く音と同時に母親の声が聞こえてきた。

 美琴がそれに返事をする。


「おかえり~。今日の夜ご飯何?」


「唐揚げよ。二人とも好きでしょ?」


 よし!今日の夕食は俺の大好物である唐揚げだ!

 たまには夕食の手伝いでもしてあげようかな。

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