第104話 市でわしを見なされ
御着。
評定。
人。
並ぶ。
その中。
黒田重隆もいた。
先日。
姫路の市を見て来た件。
その話になる。
上座から。
問われる。
「どうじゃ」
「御着でやって、
何か変わったか」
重隆。
少し考える。
そして。
口を開く。
「市役人から、
聞いた話ですが」
「見世を出したいと」
「二件ほど、
増えたと聞いております」
広間。
少しざわつく。
「ほぉ」
「なかなかな成果でとるな」
別の重臣。
腕を組む。
「店が増えるなら、
税も増えるか」
「姫路も、
随分流れ始めたな」
さらに。
別の者。
ぽつり。
「なら」
「他の重臣達も、
遣わせるか?」
すると。
広間。
急に静か。
「……」
「……」
また。
誰も。
すぐ手を挙げない。
上座。
少し呆れた声。
「なんじゃ」
「おらんのか」
その時。
一人。
前へ出る。
櫛橋伊定。
「では、
某が」
広間。
少し視線集まる。
上座。
頷く。
「ふむ」
そして。
評定。
終わる。
その後。
廊下。
伊定。
重隆へ近付く。
「で」
「どうやっておる」
「あの流れ」
重隆。
少し考える。
そして。
苦笑した。
「……市で、
わしを見なされ」
伊定。
止まる。
「ほぉ?」
重隆。
続ける。
「一緒に」
「椅子でも置いて」
「茶でもすすっておれば」
「なんとかなるという」
伊定。
しばらく黙る。
「……なんじゃそれは」
重隆。
苦笑のまま。
「わしも、
初めはそう思った」
少し止まり。
「だが」
「そんな肩肘張らんでも、
大丈夫だ」
「人は寄って来る」
伊定。
少し考える。
姫路。
市。
人の流れ。
「……面白い」
そんな言葉が。
自然に漏れていた。




