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第103話 姫塩



 秋になるまで。


 色々あった。


 その一つ。


 姫路城下の市。


 そこへ。


 黒田重隆も。


 来ていた。


 理由。


「万吉が、

 何をしているか」


 実際に見るため。


 市。


 当然。


 ざわつく。


「……黒田初代様だ」


「重隆様まで来たぞ」


 空気。


 少し固くなる。


 だが。


 万吉。


 立ち上がり。


 周囲へ言う。


「いつも通りでいい」


「持って来たい物は、

 持って来い」


「話したい者は、

 話せ」


 重隆も。


 小さく頷いた。


 それを見て。


 空気。


 少し戻る。


 すると。


 一人の商人。


 前へ出た。


 塩屋。


 頭を下げる。


「この度は」


「万吉様の口添えで」


「市へ二件目の見世を、

 出す事が叶いました」


「礼が遅れ、

 申し訳ありませぬ」


 そう言って。


 差し出したのは。


「塩一樽」


 周囲。


 少しざわつく。


 塩。


 今。


 かなり貴重。


 万吉。


 普通に受け取る。


「おお、

 ありがたい」


 塩屋。


 さらに続ける。


「それと」


「出来れば」


「見世の屋号を、

 付けて頂きたく」


 万吉。


 止まる。


 少し考える。


 そして。


 ぽつり。


「……姫塩」


 塩屋。


 目を見開く。


「なるほど……」


「姫路の塩屋」


 そして。


 その場で頭を下げた。


「その名に恥じぬよう」


「姫路へ卸す塩は、

 わが見世が担います」


 周囲。


 またざわつく。


 重隆。


 少し離れた場所で。


 その様子を見ていた。


 若。


 ただ座っている。


 だが:


 商人が寄る。


 名を求める。


 人が集まる。


 流れが出来る。



 その後も。


 餅。


 焼き物。


 茶。


 色々持って来られる。


 万吉。


 食う。


「甘いな」


「こっちは茶向きだ」


「塩効いてる」


 一言。


 言う。


 すると。


 客。


 流れる。


 重隆。


 その様子を見ながら。


 最後。


 ぽつり。


「……そら、

 人集まるわ」


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