第102話 秋
夏が過ぎ。
山の色も。
少し変わり始めていた。
秋。
山裾の小屋。
かなり慌ただしい。
理由。
「取る物が多い」
から。
「栗拾えー!」
「そっち干せ!」
「生姜掘るぞ!」
「柿運べ!」
声。
飛び交う。
女衆。
少し笑いながら。
「去年、
こんなん無かったですよ!」
確かに。
去年。
ここまで:
保存。
干し物。
採取。
備蓄。
出来ていなかった。
だが今。
干し柿。
栗。
木の実。
生姜。
保存食。
かなり増えている。
しかも。
人数も少し増えた。
そのため。
作業。
終わらない。
黒田万吉も。
普通に働いていた。
「それ、
干せ!」
「濡らすな!」
「保存する!」
完全に。
保存優先。
さらに。
春に植えた物。
確認している。
「生姜、
増えたな」
「湿気好きなんか?」
一方。
梅。
「……芽、
出んな」
女衆。
苦笑。
「そんな早く、
育ちませんよ」
万吉。
少し残念そう。
だが。
「梅干しは、
いけた」
それは残っている。
しかも。
かなり重宝されていた。
塩。
保存。
疲れ。
全部に合う。
さらに。
栗。
万吉。
かなり機嫌が良い。
「栗増えたら、
いいな」
「結構好きだ」
周囲。
少し笑う。
「若様、
好きな物偏ってますよね」
「保存出来る物ばっかりです」
別の女。
苦笑。
「あと、
手間かからなそうなの」
万吉。
普通に頷く。
「特に」
「実がなる木なんかは、
その季節に取ればいいだけだから」
「結構好きだな」
周囲。
少し静か。
確かに。
木。
植えておけば。
毎年実る。
畑ほど。
手も掛からない。
万吉。
さらに。
ぽつり。
「毎回大変なのは、
続かん」
周囲。
少し笑う。
だが。
皆。
分かり始めていた。
この若。
「一回だけ」
ではなく。
「続く形」
を。
ずっと考えているのだと。




