第101話 とんでもない孫
その夜。
御着。
黒田屋敷。
部屋。
灯り。
向かい合う。
二人。
黒田重隆。
そして。
黒田職隆。
親子。
昼。
小寺での話。
終わった後だった。
しばらく。
静か。
そして。
重隆。
ぽつり。
「……で?」
「おまえの息子は、
何をしとるんじゃ」
職隆。
少し黙る。
言い方次第では。
説教にも聞こえる。
だが。
重隆。
本気で怒っている訳ではない。
本当に:
「何をしているのか、
分からん」
。
職隆。
長く息を吐く。
「私も、
全部は分かりませぬ」
重隆。
眉が動く。
「お前でもか」
職隆。
頷く。
「ただ」
「流れを作っております」
重隆。
少し黙る。
職隆。
続ける。
「最初は」
「川さらい」
「荷運び」
「草鞋」
「その辺りでした」
「ですが今は」
焼き見世。
茶。
人の滞留。
市の拡張。
商人の流れ。
そこまで行っている。
重隆。
腕を組む。
「……何故、
そんな事になる」
職隆。
少し考える。
そして。
ぽつり。
「人が、
集まるのです」
「あやつの所へ」
「行けば、
流れる」
「そう思われ始めております」
重隆。
静か。
そして。
次に問う。
「で」
「どうすれば、
小寺様が納得する」
「成果になる」
ここから。
空気が変わる。
親子。
完全に:
「黒田の話」
になる。
職隆。
すぐ答える。
「姫路城下の益です」
「市が広がり」
「税が増え」
「人が流れる」
「それが、
小寺の益になる形へ持って行けば」
「止められにくい」
重隆。
静かに聞く。
さらに。
職隆。
市の話を始める。
若が座る。
商人が寄る。
感想を聞く。
客が流れる。
店が増える。
茶を飲む。
人が滞留する。
市の端が。
賑わう。
重隆。
途中から。
何とも言えない顔。
「……なんじゃそれは」
職隆。
苦笑。
「私も、
初めはそう思いました」
しばらく。
沈黙。
そして最後。
重隆。
長く息を吐く。
「……まったく」
「とんでもない孫を、
持ったもんじゃ」




