第100話 黒田が作った流れ
ひと月ほど。
時が流れた。
姫路城下。
市。
さらに賑わっていた。
店。
増えた。
茶を出す見世。
串物。
焼き物。
人が止まり。
話し。
流れる。
そして今。
御着。
黒田職隆。
小寺への報告のため。
来ていた。
広間。
小寺家臣達。
並ぶ。
話。
色々続く。
年貢。
周辺情勢。
流れ。
その後。
一人。
ぽつりと言った。
「そういえば」
「姫路の市、
随分賑わっているとか」
空気。
少し動く。
職隆。
顔色変えない。
「はい」
「最近、
人が流れております」
別の者。
笑いながら。
「黒田の若が、
焼き物食ってるとか」
周囲。
少し笑う。
だが。
別の重臣。
真面目。
「それだけで、
店が増えているそうだな」
職隆。
頷く。
「若が市へ出入りしており」
「賑わいも出ておりましたので」
「黒田としても、
姫路城下の市が潤う事は」
「良き事と判断致しました」
「故に、
私も顔を出しております」
広間。
少し静か。
嘘はない。
しかも。
実際。
市。
かなり流れている。
さらに。
別の者。
ぽつり。
「そんなに賑わうなら」
「御着も、
見てみたいな」
少し笑い。
だが。
すぐ別の者。
「さすがに、
当主自らは……」
空気。
変わる。
すると。
重臣。
口を開く。
「ならば、
誰か遣わせればよい」
広間。
少し静か。
誰も。
すぐには動かない。
「……」
「……」
興味はある。
だが。
誰も。
自分から行くとは言わない。
その空気を見て。
上座側。
少し呆れたように。
「……では、
重隆」
「黒田が作った流れだ」
「見てこい」
重隆。
少し止まる。
だが。
すぐ頭を下げた。
「はっ」
そして。
上座から。
さらに声。
「重隆が」
「うまくやれるのなら」
「他も遣わせよう」
広間。
少し静かになる。
つまり。
小寺側も。
「ただの噂」
ではなく。
「利用出来る流れ」
として。
見始めていた。
そして職隆は。
内心。
思う。
「……もう、
播磨へ流れ始めたか」




