第89話 護衛
数日後。
山裾の小屋。
黒田家から。
本当に。
護衛が来た。
三人。
槍。
刀。
普通の小屋には。
少し物々しい。
女衆。
少し緊張。
子供。
興味津々。
「武士だ」
「すげぇ」
一方。
万吉。
普通。
「来たか」
それだけ。
護衛側も。
少し困っていた。
命令は:
「若の護衛」
だが。
来てみれば。
・女が飴煮てる
・子供字書いてる
・焼き物焼いてる
・銅叩いてる
・帳簿ある
「……何だここ」
そんな空気。
その日の夜。
万吉。
普通に言う。
「じゃあ」
「夜回り頼む」
護衛達。
止まる。
「夜回り、
ですか?」
万吉。
頷く。
「荷あるし」
「炭あるし」
「火も使ってる」
「見回った方がいいだろ」
理屈。
通っている。
だが。
護衛達。
少し困る。
理由。
「我ら、
若様の護衛では……」
すると。
万吉。
普通に返す。
「うん」
「だから、
小屋見回るんだろ」
空気。
止まる。
そこへ。
井上之正。
現れる。
少し遠い目。
「若様」
「護衛というのは」
「若様本人を、
守る者です」
万吉。
少し考える。
そして。
当然のように言った。
「わし、
ここにいるだろ」
井上。
黙る。
護衛達も。
黙る。
理屈は。
通っている気がする。
その後。
結局。
護衛達は:
・火
・荷
・小屋周囲
見回る事になった。
夜。
山裾。
火。
見回る武士。
小屋の者達。
少し安心した顔。
そして護衛達も。
少しずつ分かり始めていた。
この若。
「守る」
の意味が。
少し普通と違うのだと。




