# 第83話 挟む
焼き見世の後。
小屋では。
まだ:
「挟むか」
の話をしていた。
焼いた生地。
そこへ。
甘い物。
何か合いそう。
そして結局。
「やってみるか」
になった。
最近。
この小屋では。
大体そうなる。
まず。
女衆。
豆を煮る。
小豆。
甘く。
柔らかく。
その間。
別の場所では。
焼き物を焼く。
じゅう。
香り。
広がる。
そして。
試しに。
「挟む」
出来た。
だが。
「熱っ!」
崩れる。
豆。
落ちる。
子供。
笑う。
さらに。
食う。
「甘っ!」
「くっつく!」
「食いにくい!」
小屋。
騒がしくなる。
だが。
止まらない。
「少し冷ます?」
「飴減らすか」
「豆もっと潰した方が」
皆。
勝手に工夫し始める。
そして。
何度目か。
少し形になる。
そこで。
当然のように。
「井上」
井上之正。
止まる。
「また私ですか……」
周囲。
笑う。
だが。
食う。
止まる。
少し黙る。
そして。
「……これは」
「かなり、
うまいですな」
周囲。
反応する。
子供達も。
群がる。
「もっと!」
「もう一個!」
女衆も。
食う。
「これいいねぇ」
「腹にも溜まる」
万吉。
見ている。
焼き物。
豆。
甘味。
全部。
流れている。
そして。
ぽつり。
「次の市で、
出すか」
誰も。
反対しなかった。
また一つ。
「流れる物」
が。
増え始めていた。




