第84話 小遣い
黒田屋敷。
万吉。
呼ばれていた。
理由。
「税」
そして。
小屋。
最近。
完全に:
「商い」
になり始めている件。
部屋。
黒田職隆。
少し疲れた顔。
万吉。
普通。
「普請してるから、
無課税ですよね」
職隆。
即答。
「誰が決めた」
万吉。
少し考える。
「じゃ、
もう普請やめますか?」
職隆。
眉を押さえる。
「待て」
沈黙。
その後。
職隆。
口を開く。
「税は、
とりあえず」
「益から四公だ」
万吉。
止まる。
そして。
即座に返した。
「いえ」
「一割減らしてください」
職隆。
眉が動く。
万吉。
当然のように続ける。
「市で、
銭払ってます」
「二重取りです」
部屋。
少し静かになる。
井上。
思わず目を逸らす。
職隆。
額を押さえる。
「……お前な」
だが。
万吉。
真面目。
「場所代払ってますよね」
「それでまた取るなら、
二重です」
理屈。
通っているようで。
通っていないようで。
だが。
完全には否定しづらい。
実際。
市では。
ちゃんと場所代を払っている。
職隆。
少し考える。
そして。
長く息を吐いた。
「……三公だ」
「それ以上は譲らん」
万吉。
少し考える。
そして。
頷く。
「ではそれで」
即決。
すると。
職隆。
さらに続ける。
「あと」
「黒田家からなら、
出してもいい」
「名目は」
「お前への小遣いだ」
「年間六百文」
「城からではない」
「若へ出す、
小遣いだ」
言い聞かせるように。
何度も言う。
万吉。
少し考える。
そして。
当然のように言った。
「なら」
「護衛も付きますよね」
職隆。
止まる。
「……何故だ」
万吉。
真面目。
「黒田の若が、
外で金使うんですよね」
「なら、
護衛いるでしょう」
理屈。
通っている。
職隆。
長く息を吐いた。
そして最後。
「……三人だ」
「護衛は三人」
「それ以上は無理だ」
万吉。
頷く。
「十分です」
即答。
職隆。
その顔を見て。
少し思う。
この若。
「遊び」
の顔で。
「領を回す話」
を始める。
だから。
一番厄介だった。




