第80話 焼き見世
酒粕焼き。
思ったより。
評判が悪くない。
腹に溜まる。
香りもある。
そして何より。
「焼いてる匂い」
で。
人が寄って来る。
そのため万吉。
本当に。
もう一軒。
見世を出す事にした。
山裾の小屋。
万吉。
普通に言う。
「女達に、
やらせればいいか」
「駄賃出せば、
やってくれるだろ」
その瞬間。
女衆。
止まる。
「……なんか私達」
「売り子、
させられてません?」
周囲。
笑う。
万吉。
普通。
「売るんだから、
売り子いるだろ」
悪気。
ゼロ。
すると。
次は。
銅細工の男を見る。
「鉄板、
どうするか」
「少し大きめなの、
作れるのかな」
男。
少し考える。
そして。
口元を緩めた。
「ええ、
任せてください」
最近。
仕事が増えている。
しかも。
ちゃんと流れる。
やり甲斐。
少しある。
さらに。
万吉。
ぶつぶつ言い始める。
「かまども、
市の見世に作らなあかんな」
「煙出過ぎても、
良くないし」
「炭使うか」
そこで。
少し止まる。
「……元、
取れるかな?」
珍しく。
利益を気にした。
流れ商人。
少し笑う。
「匂いで人寄るなら、
悪くないと思いますよ」
「ついで買いもありますし」
すると万吉。
少し考えた後。
「じゃ、
やってみるか」
結局。
試す。
最近。
小屋では。
「まずやる」
が。
完全に定着し始めていた。




