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第75話 何を報告すれば



 黒田屋敷。


 黒田職隆は。


 最近。


 少し困っていた。


 山裾の小屋。


 人が増えている。


 物も増えている。


 だが。


 何をしているのか。


「いまいち、

 分からん」


 しかも。


 井上之正へ聞いても。


「梅干しです」


「ショウガ植えております」


「最近、

 飴が売れております」


 そんな話しか返って来ない。


 職隆。


 額を押さえる。


「そういう事ではない」


 だが。


 井上。


 真面目。


 本当に。


 それをしている。


 そのため職隆。


 ついに。


 若い家臣を呼んだ。


「お前」


「少し、

 万吉の側を見て来い」


「何をしているか」


「ちゃんと見ろ」


 若い家臣。


 緊張。


「はっ!」


 そして数日後。


 山裾へ行った。


 だが。


「……何を、

 見ればいいんだ?」


 困る。


 小屋。


 女達。


 梅干し。


 別の場所。


 銅を叩く音。


 子供。


 字を書いている。


 川。


 見に行く万吉。


 途中。


 紫蘇摘み。


 さらに。


 飴。


 ショウガ。


「……?」


 意味が分からない。


 武具を集めてる訳でもない。


 兵を鍛えてる訳でもない。


 だが。


 全部。


 妙に繋がっている気がする。


 結局。


 若い家臣。


 分からなくなった。


 そのため。


 帰った後。


「見た事を、

 全部報告しました」


 そうなった。


 職隆。


 話を聞く。


「梅干しを作っておりました」


「ショウガを植えております」


「飴が売れているそうです」


「草鞋を備蓄すると」


「紫蘇は山裾で探せると」


「ため池を増やしたいと」


「子供に字を書かせております」


「銅を加工して――」


 報告。


 続く。


 職隆。


 途中から。


 黙る。


「……待て」


 全部。


 別々に見える。


 だが。


 何故か。


 全部:


「止めない」


方向へ繋がっている。


 保存。


 備蓄。


 流れ。


 人。


 そして。


 職隆は。


 少しずつ気付き始める。


 万吉は。


 ただ遊んでいる訳ではない。


「領を回す方向」


へ。


 全部を繋げ始めているのだと。


 そして最後。


 職隆。


 若い家臣を見る。


「これからも」


「たびたび見に行け」


「そして報告しろ」


 若い家臣。


 少し困った顔。


「はっ」


 だが内心。


(何を報告すれば……)


 まだ。


 よく分かっていなかった。


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