表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/145

第73話 山裾



 数日後。


 万吉は。


 子供達と。


 通いの女を連れて。


 山裾を歩いていた。


 目的。


「紫蘇探し」


だったはず。


 だが。


 途中から。


 完全に:


「山裾観察」


になっていた。


 女。


 草を指差す。


「若、

 これ紫蘇ですよ」


 万吉。


 止まる。


 葉を見る。


 匂いを嗅ぐ。


「ほー」


 少し進む。


「こっちは、

 食える草ですね」


「これは、

 干して使ったり」


 次々説明される。


 万吉。


 普通に聞いている。


 そして。


 いつものように:


「どう使う」


へ行く。


「保存は?」


「干します」


「増えるのか?」


「種落ちれば」


「売れるかな」


 女。


 少し困る。


「売れるかは、

 知りません」


 周囲。


 少し笑う。


 その時。


 少し先。


 大きな木。


 女。


 指差す。


「あの木は、

 栗ですね」


 万吉。


 止まる。


「珍しい」


 近付く。


 見上げる。


 さらに。


 別の木。


「こっちは、

 秋に木の実なります」


 万吉。


 即座に聞く。


「食えるのか?」


「食べられますよ」


「干したりもします」


 万吉。


 止まる。


 食える。


 干せる。


 保存。


 全部。


 好きな言葉。


 そして。


 栗の木を見ながら。


 ぽつり。


「栗の木、

 増えたらいいな」


 周囲。


 少し止まる。


 万吉。


 さらに続ける。


「結構、

 栗好きだ」


 子供達。


 少し笑う。


 女衆も。


 笑う。


 最近。


 万吉は:


「流れ」


「保存」


「増やす」


ばかり言っていた。


 だが。


 今のは。


 少しだけ。


 年相応だった。


 もっとも。


 次の瞬間には。


「これ、

 植えたら増えるのか?」


と聞いていたのだが。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ