第116話 小屋勝ち取る
正月。
終わる。
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姫路。
少しずつ。
いつもの空気へ戻り始めていた。
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その日。
万吉。
普通に立ち上がる。
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「では、戻るか」
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与吉。
少し首を傾げた。
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「……戻る?」
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万吉。
当然のように言う。
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「小屋」
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かなり自然。
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与吉。
まだ。
少し半信半疑だった。
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そのため。
そのまま同行する。
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側には。
黒田側の大人。
二人ほど。
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道中。
与吉。
少し緊張していた。
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最近。
家中で聞く話。
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* 市
* 普請
* 商人
* 流れ
* 小屋
。
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だが。
実際。
何なのか。
まだ分かっていない。
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そして。
山裾へ着く。
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その瞬間。
与吉。
少し固まった。
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小屋。
かなり雑多。
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* 干し物
* 樽
* 炭
* 村人
* 元流れ者
* 僧
* 通いの女
。
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しかも。
皆。
普通に万吉へ話しかける。
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「戻ったか若」
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「樽また増えたぞ」
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「干し場埋まっとる」
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万吉。
普通。
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「なら、もう一段増やすか」
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完全に。
小屋側の人間。
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与吉。
かなり困惑。
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(黒田の若……だよな?)
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しかも。
万吉。
普通に荷運びもする。
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樽押す。
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縄引く。
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子供と喋る。
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通いの女に:
「濡らすなよ」
とか言われている。
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与吉。
かなり混乱。
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そして。
夜。
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囲炉裏。
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皆。
普通に飯を食う。
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万吉も。
普通に混ざっている。
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さらに。
与吉。
決定的なものを見る。
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万吉。
普通に。
元流れ者達と。
同じ空間で寝ようとしていた。
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与吉。
完全に止まる。
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「……え?」
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本当に。
同じ小屋。
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しかも。
誰も不自然と思っていない。
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翌日。
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与吉。
かなり急いで。
姫路へ行った。
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そのまま。
黒田職隆の所へ行く。
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「殿!」
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「若様の小屋!」
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「さすがに、あれはおかしいです!」
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職隆。
少し苦笑。
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「何があった」
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与吉。
かなり真面目。
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「黒田の嫡男が!」
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「元流れ者達と!」
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「同じ場所で寝ておられるのですよ!」
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「しかも!」
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「普通に混ざっております!」
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「もう、ただの村人小屋ではありませんか!」
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職隆。
静かに聞いている。
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そして。
少し考え。
長く息を吐いた。
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「……わしも」
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「最初は、止めようと思った」
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与吉。
少し止まる。
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職隆。
静かに続ける。
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「だがな」
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「あやつが、あそこへ行き始めてから」
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「人が流れ」
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「村が回り始め」
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「市も広がった」
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「止めろと、言えんようになった」
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与吉。
少し黙る。
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小屋。
ただの遊び場ではない。
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それは。
少し分かった。
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だが。
納得は出来ない。
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「ですが!」
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「ならば尚更!」
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「若用に、屋敷を建てるべきです!」
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職隆。
少し苦笑。
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「屋敷を建てれば」
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「小寺に、突っつかれる」
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「今はまだ」
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「“若の遊び”で、
# 済ませておきたい」
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与吉。
そこで。
少し理解した。
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つまり。
小屋。
貧しいからではない。
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# 「目立たせぬため」
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でもある。
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だから与吉。
少し考え。
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「……ならば」
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「せめて」
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「若専用の小屋を」
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「寝る場所ぐらいは、
# 分けるべきです」
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職隆。
少し笑う。
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「……うむ」
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「それぐらいなら、
# 良いかもしれんな」
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そして。
その日。
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与吉。
ついに。
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# 「若専用小屋」
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勝ち取った。
「なお万吉の小屋、
イメージとしては
“戦国1K”です」
「作業場兼住居兼倉庫兼応接間




