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第110話 石積めば?



 倉。


 作り始めた。


 山裾。


 村の男手。


 集まっている。


 木。


 運ぶ。


 柱。


 立てる。


 最近。


 小屋。


 かなり忙しい。


 保存物。


 増えた。


 樽。


 干し物。


 塩。


 栗。


 今の小屋だけでは。


 置き切れなくなっていた。


「そっち持ち上げろー!」


「縄引け!」


「柱曲がっとる!」


 声。


 飛び交う。


 木工の男。


 かなり真面目な顔で。


 組みを見ている。


「そこ締め過ぎると、

 木割れます」


 すると。


 村人。


 感心。


「へぇ……」


「やっぱ職人は違うな」


 一方。


 万吉。


 高床部分。


 じっと見ている。


「もっと上げても、

 いいかもな」


 井上之正。


 苦笑。


「若様」


「上げ過ぎると、

 今度は運ぶのが大変です」


 万吉。


「……なるほど」


 ちゃんと納得する。


 その作業の最中。


 村人。


 ぽつり。


「うちの村も、

 獣に狙われとるっすわ」


 別の男。


 頷く。


「こっちもじゃ」


「猪が畑荒らしよる」


「芋も掘り返された」


 かなり切実。


 実りの季節。


 つまり。


 獣も寄る季節だった。


 皆。


 少し困り顔。


 そこで。


 黒田万吉。


 普通に言う。


「……石積めば?」


 周囲。


 止まる。


「石?」


 万吉。


 普通。


「入れんようにすればいい」


「猪垣みたいに」


 男達。


 少し考える。


 確かに。


 石積み。


 昔から無い訳ではない。


 だが。


 大量の石。


 普通は集めるのが大変。


 そこで。


 万吉。


 井上を見る。


「井上」


「普請で出てる石、

 どうしてる」


 井上之正。


 少し考える。


「川の時は、

 堤に使っておりましたが」


「今はため池普請ですので」


「近くに積んだままです」


 万吉。


 即答。


「じゃ、

 各村に回してやれ」


「石」


 周囲。


 少し静か。


 つまり。


 今まで:


「余り」


だった物が。


「村を守る物」


へ変わる。


 さらに。


 万吉。


 ぽつり。


「あと」


「落とし穴でも掘っとけば」


「そのうち捕まえれるぞ」


 男達。


 止まる。


「……猪肉か」


 万吉。


 普通。


「食えるだろ」


 周囲。


 少し笑う。


 井上。


 少し遠い目。


「最近」


「若様の話」


「大体、

 最後食い物になりますな」


 周囲。


 笑う。


 だが。


 男達。


 かなり真面目に考え始めていた。


「石余っとるなら、

 確かに出来るか……」


「畑囲えれば、

 かなり違うぞ」


「芋守れるなら、

 助かる」


 万吉。


 もう別の事考えている。


「石積んで」


「落とし穴掘って」


「干し場高くしたら」


「結構減るんじゃないか?」


 木工の男。


 ぽつり。


「干し場、

 壁少なくした方が風通ります」


 万吉。


 即座に頷く。


「それいいな」


 また。


 話が繋がる。


 保存。


 獣避け。


 湿気。


 干し場。


 全部。


 同じ流れで回り始めていた。


 そして。


 数日後。


 夕。


 小屋。


 外。


「若様ー!」


 かなり大きい声。


 村人達。


 何人かで。


 何か運んで来る。


 縄。


 棒。


 そして。


 その真ん中。


 大きな猪。


 周囲。


 ざわつく。


「ほんまに捕まえた!」


「でかいな!」


「うわ、

 牙すげぇ」


 村人。


 かなり嬉しそう。


「落ちましたぞ!」


「石垣の外!」


「穴掘った所!」


 万吉。


 まず聞く。


「畑減らんかった?」


「芋無事か?」


 村人。


 かなり嬉しそうに頷く。


「今年、

 かなり残りました!」


「荒らされる量、

 減りました!」


 万吉。


 満足そう。


「ならいい」


 かなり本気。


 周囲。


 少し笑う。


 そして。


 その日。


 小屋。


 久しぶりに。


 かなり肉の匂いがした。


 炭火。


 猪肉。


 塩。


 囲炉裏。


 笑い声。


 秋。


 山裾。


 少しずつ。


「生き残る形」


が。


 出来始めていた。


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