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第110話 設計?



 秋。


 山裾。


 高床の棚。


 かなり好評だった。


 樽。


 浮く。


 湿気。


 減る。


 干し物も置ける。


 しかも。


 獣が届きにくい。


「これ良いなぁ……」


「塩湿気らん」


「干し柿も無事だ」


 女衆。


 かなり機嫌が良い。


 木工の男も。


 少し安心した顔をしていた。


 その数日後。


 村人達。


 見に来る。


 理由。


 噂。


「黒田の若の所」


「なんか変な棚作ったらしい」


 そんな話。


 山裾。


 小屋。


 村人達。


 棚を見る。


 高床。


 干し場。


 樽。


 そして。


 下。


 風通る。


「……ほぉ」


「これ、

 良いな」


「湿気来にくそうだ」


 さらに。


 別の男。


 樽を見る。


「地面置かんだけで、

 こんな違うか」


 木工の男。


 少し嬉しそう。


「風通りますから」


「乾きやすいです」


 すると。


 村人の一人。


 ぽつり。


「これ」


「倉にしたら、

 かなり良さそうだな」


 周囲。


 少し静か。


 そして。


 別の男。


 頷く。


「確かに」


「高くしとけば、

 獣も入りにくい」


「干し場も作れる」


「保存しやすい」


 さらに。


 別の村人。


 ぽつり。


「……他の村も、

 困っとるしな」


 秋。


 取れる物。


 増えた。


 だが。


 保存場所。


 足りない。


 湿気る。


 獣来る。


 腐る。


 つまり。


 どこも同じ問題抱えている。


 その時。


 一人。


 自然に言った。


「若様に、

 設計してもらうか?」


 周囲。


 かなり自然に頷く。


「ああ」


「あの若、

 保存考えるの上手いしな」


「流れ止めん」


「長持ちさせる」


「今作っとる倉みたいなん、

 他にも欲しい」


 その時。


 ちょうど。


 奥から。


 万吉。


 出て来た。


 栗。


 抱えている。


「栗増えた」


 かなり機嫌良い。


 だが。


 空気。


 少し違う。


 万吉。


 止まる。


「……?」


 村人達。


 万吉を見る。


 そして。


 一人。


 口を開いた。


「若様」


「倉、

 考えてもらえませんか?」


 万吉。


 止まる。


「……倉?」


「はい」


「湿気来にくくて」


「長持ちして」


「獣避け出来るやつ」


「今の棚、

 かなり良かったので」


 万吉。


 かなり困惑。


「いや」


「床上げただけだぞ?」


 村人達。


 苦笑。


「そこなんですよ」


 井上之正。


 少し離れた場所で。


 その様子を見ている。


 そして。


 ぽつり。


「……設計者扱いされ始めましたな」


 万吉。


 まだ困惑している。


「設計って、

 そんな大層なもんじゃないだろ」


「湿気嫌なだけだ」


 すると。


 木工の男。


 静かに口を開く。


「ですが」


「何を嫌がるかで、

 形は変わります」


 万吉。


 止まる。


 男。


 続ける。


「若様は」


「長く持つ形を、

 先に考えておられる」


「だから、

 使いやすいんです」


 周囲。


 静かに頷く。


 万吉。


 少し黙る。


 だが。


 次の瞬間。


 もう別方向へ思考飛んでいた。


「倉なら」


「風通したいな」


「あと」


「干し場一緒にした方が、

 多分楽だ」


「毎回運ぶの面倒だし」


 周囲。


 また静か。


 井上。


 苦笑。


「ほら始まった」


 だが。


 村人達。


 その話。


 かなり真面目に聞き始めていた。


 気付けば。


 黒田万吉は。


 ただの若ではなく。


 少しずつ。


「どうすれば、

 長く回るか」


を。


 考える者として。


 見られ始めていた。


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