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第15話.大和

こんな事なら、こいつがどんな タイプなのか きちんと聞いておけば良かった。

世良は、多分パワータイプだ。


こいつは、さっき天馬に乗り移ってきた事を考えると、スピードタイプなのかもしれない。


スピードタイプだとしたら、電撃を当てるのも難しいかもしれない。

レールガンだって、多分当たらない。

パワータイプの方がまだマシだ。

触れさえすれば電気を送れるもんな…。


必死に頭をフル回転させてみるものの、やっぱりナンバー3とタイマンで勝てる確率が低すぎるという結果しか頭には浮かんで来ない。


大和は、ゆっくりと歩いて近付いてきたが、少し俺の手前で足を止めた。


遠距離タイプだったら、最悪だ。

さらに相性が悪すぎる。

少しの動きも見逃さない様に大和を見ながら、ゴクリ…と唾を飲み込んだその時、大和が口を開いた。


『……おっせぇよ。』


「…………え。」


ん?


遅い………。

って、何が?


え、何!?

俺もしかして、もう何かされたの!?

何か攻撃された!?


慌てて身体をパタパタと触って確認したものの、何の違和感も感じない。


「………?」


再び大和を見ると、大和はジッと俺の顔を見つめたまま動かない。

そんな大和の目を見ていると心臓がザワッと波を打つように動くのがわかった。

直感というのかな?

何故か、わかるんだ。


こいつから、敵意を感じない。


「……あの…。あんたは……一体……?えっと、大和…だっけ?」


素直に出た言葉だった。

だけど、すぐに後悔した。


俺の言葉を聞いた大和が、その瞬間何かを堪える様にして俯いたから。

唇を噛み締めて、両手を握り締めながら 僅かに震える肩を見て 俺は言葉を飲んだ。


『…全部……持ってかれたか…?記憶。』

「……え?」


あれ……?


『…覚悟はしてたけどな。』


ちょっと待て…。

俺…知ってる。


大和は、俯いたまま呟いた。


『…やっぱ、キッついなぁ。』


俺、この声知ってる……!!


「……双葉を…探せ…」


俺の声に、大和が顔を上げた。


そうだ。

俺が目覚めたあの時、頭に響いた声。

久遠のコロニーで眠っていた時にも、頭に響いた声。


「…双葉を探せ……って…。」


ー…あれは、コイツの声だ。


『…なんだよ。それは覚えてんのかよ。

ほんっとお前……。

……ムッかつくわぁ。』


そう言って、大和は笑った。


それを見た瞬間、胸にジワッと熱いものが込み上げて来て、俺の目にも涙が浮かんできた。

何だこれ。物凄く懐かしい感覚に陥る。


『はー…。ったく…363年待ったぞ。この馬鹿。ほんっと、おっせぇよ。』

「………は?」


363年?


『…まぁ、いいや。俺が最後にお前に言った言葉を覚えてたんだ。

許してやんよ。』

「……は?」

『………。』

「………。」

『……やっぱ、一発殴っていい?』

「……はぁあああああ!?」

『ぶはっ!!あー…懐かしい!!懐かしいわこれ!!』


俺、こいつに何回か殴られた気がする。


「…てゆーか、どーゆう事なんだよ?俺を待ってたって…お前一体…」


俺がそう言って大和に近寄ろうとしたその時、大和がハッと空を見上げた。


『…あっちゃぁ…青龍が限界だな…。白虎やべー。やっぱ世良さん怖ぇなぁ…』

「………って!!そうだよ!!お前、裏切ったのか!?青龍が朱雀を攻撃してたんだけども!!世良さんブチ切れて、お前をぶち殺すって叫んでたぞ!?

早く誤解解かないとヤバイって!!」


大和は、しばらく黙って空を見上げていたが ふぅ…っと大きく息を吐いて 真っ直ぐと俺を見た。


『お前が俺に最後に言った言葉を、今お前に返す。』

「…は?」



『“双葉を頼む。”』



胸が、ドキンと一回大きく鳴った。

俺が…こいつに言った…言葉?


『…やっぱ…お前みたいには行かねー

わ…。

俺、何回も泣かせちゃったよ。

……ごめんな。』

「……何……言って…」


『来い!!青龍!!』


大和の声と共に、大きな爆風が辺りを包み込んだ。

風の強さに耐えながら必死に目を開けると、そこには傷だらけの青龍を優しく撫でる大和がいた。

青龍が、大和をクルリと包み込み、自分の頭に乗せる。


「…ちょっ…!?大和!?」


青龍の頭の上に乗ったままの大和を見て、なんだか嫌な予感がした。


「大和!!戦場に戻るんだろ?待てよ俺も一緒に行くから!!」


すると大和は寂しそうに笑って、俺に言った。


『敵同士が一緒に戻ってどーすんだよ。』

「……敵…って…」

『俺は1区を裏切って5、6、7の連合区に加担してんだ。知ってるだろ?』

「誤解だろ!?」


『…誤解じゃねーよ。』


青龍はフワリと浮き上がり、大和を頭に乗せたままゆっくりと後退し始めた。


「大和!!わかんねーよ!!何でだよ!?」


俺の叫び声を聞いて、青龍が大きな尻尾を上下に振った。


『お前を敵とみなしたみたいだな。威嚇だ。これを見たら注意しな。』

「威嚇って……だから!!なんでお前が敵なんだよ!?」


『双葉に伝えといてくれないかな。』

「……え?」


『馬鹿でごめん って。』


青龍が少しずつ空に上がっているので、もう大和の表情がわからない。


「大和!!大和!!待てよ!!俺はもっとお前と話がしたい!!」


俺の叫び声が聞こえたのかどうか、聞いた上で聞こえてないフリをしたのか、そんなのはどっちでもいい。


かすかに見えた大和の姿は、やっぱり笑ってる様にみえたんだ。



『会えて良かったよ。………親友。』


大和のその言葉は、青龍の風圧で微かにしか聞こえなかった。


青龍はどんどん遠くへと大和を乗せて、あっという間に俺から離れて行ってしまった。



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