第7話 未来の夢
「ここです。A6939が生まれた工場。」
「よし、監視カメラの死角で停車しゆっくり待つか。」
「まだ働いてますかね。」
「分からん。だが、他に方法が無い。
あちこち探ると、治安警察に嗅ぎつかれる。」
グレーの商用車に乗った三人の男は、薄汚れた作業着姿だ。
「兄貴、何着てもロックってか、かっけぇっす。
その、哀愁漂うおっさん感、まさに地下室のドブねずみって感じっすね。
兄貴、マジ役者とか出来るんじゃないっすか。」
「おいおい兄弟、あんまり褒めると、俺調子に乗っちゃうぞ。」
「それ、褒めてるんですか、、。」
「おっ、ポツポツ人が出てきたぞ。」
「兄貴、あれ。」
「てか、ビンゴ、大正解!」
後部座席に乗っている長髪の男が、おもむろに窓を開けてとぼとぼ歩く男に声をかけた。
「やあ、久しぶり。」
「あんた、、。」
声をかけられた中年の男は、すぐに何かを察したのか迷わずドアを開け車に乗った。
すぐさま車はするすると走り出した。
「俺にはチップが着いてる、追跡されるぞ。」
「心配ない、この車の中は完全に外部から遮断されている。
早速だが、頼みがある。
A6939が動がなくなった、力を貸して欲しい。」
「そうか、、、分かった。
思考と行動の矛盾に、AIシステムが耐えられなくなってバグったか。今から?」
「早い方がありがたい。
妹のロックが泣いてかなわん。」
「妹?ロック?」
「ああ紛れもない妹だ。
熱い絆で結ばれている。
あのシスターズはリアルだ。
A6939は、ただのアンドロイドじゃねえ。
ロックな魂を持ってるレディミックだ。
ミク ロックしつづけろ、、、。
あんたが託したんだろ。」
「ああ、それが未来の、、、ただ一つの夢だったから。」




