第12話 スペシャル
「ビッグパティ、タツ、待たせたな。
シスターズは?」
「二人一緒におやすみ中だよ。で、その人は?」
「ああ、ミックの、、、父ちゃんだ。」
「あらまあ、そうかい、それなら安心だね。
父ちゃん、ひとつ、何とか、娘を頼むよ。」
「分かった。すぐ作業にかかる。
コンピュータはあるか。」
「それは大丈夫だ。
凄いのがある。
今はちょっと出かけてるが、うちには最高のハッカーがいる。
そいつのマシンは、まさに、スペシャルだ。」
「スペシャルって、そんなの、使っていいのか。」
「かまわん。俺の兄弟のだ。
俺の生体認証でログインできる。
着いた早々にすまない。」
「なに、待ってる人がいるんだろ。
それに、未来の夢と宝物を託したあの子に早く会いたいしな。」
ベッドでは、何事も無かったかのように二人が寝ている。
「ロック、悪いが姉ちゃんをしばらく借りるぜ。」
リアルは、ムクの手をほどいてミクを抱え上げ、コンピュータルームへ運んだ。
それから、数時間、男は休むことなくコンピュータを打ち続けた。
「ふぅ、何とか終わった。
思考と行動の矛盾を取り除いた。
要は、必要ない縛りを全部取っ払ったってことだ。」
「ありがとう。それで大丈夫か。」
「問題無い。
これで、もっと自由に動けるだろう。
ただし、人殺しのストッパーはそのままだ。」
「分かった。それでいい。俺も大嫌いだ。
レディミックには似合わねえ。」
「ところで、聞きたいんだが、胸の音って何だ。」
「ああそれな。
ふっ、何だと思う。」
「もったいつけるな。教えてくれ。」
「あんたのベースの音さ。
未来が言ってたからな。
リアルのベースは、他の誰とも違う。
生きてる、生きたい、生きなきゃ、って気持ち、希望が無限に湧いてくるってな。
未来は、それを聞きながらずっと頑張ったんだ。
痛くても、苦しくても、辛くても、悲しくても。
涙をこらえ、赤いピックを握りしめて。
俺には分からん。
ただ、きっとあんたの音には何かあるんだろう。
未来の耳は、本物だからな。
間違いない。
だから、あんたには感謝している。」
「そうか、、良かった。
そのために、、弾いてるからな。
で、その音はもう生きているのか。」
「ああ最高にな、、まさに、、スペシャルだ。」
リアルは、ミクをベッドに運びムクの横に寝かせた。
ムクは、ミクの胸に耳を当てると、安心しきった顔で寝息を立てはじめた。




