第11話 あの日の出来事
「P1169を明日出荷するって聞いて、僕はびっくりして心臓が止まりそうになりました。
何故なら、、。
僕、P1169を時々見て、無邪気で可愛いなっていつも思ってたんです。
妹にちょっと似てるかもって。
もし今、妹に会えたら、こんな感じなのかなって。
僕、妹がいるんですけど、あの家族分離政策でずっと会っていないんです。
この先も、多分会えないかも。
そもそも、今、どこにいるかわかりませんし。」
「ああ、あのクソみたいな政策だな。
家の中には監視カメラを置けねえなら、家族ごとぶっ壊せばいいとか。
子供は、親ではなく世界政府が、男女別々、一律に教育しなきゃいけねえとか。
教育?洗脳の間違いだろ。
全く、とことんイカれた奴らだぜ。」
「それから、先輩二人がP1169の出荷準備をするとか言って、ニタニタしながら嬉しそうに出て行きました。
僕は、嫌な予感がして後をつけました。
二人は、監視カメラの無いランドリールームにP1169を連れて行きました。
それから、彼女の悲鳴が聞こえたんです。
助けて!って。
それで、僕は無我夢中で部屋に飛び込みました。
お前ら、やめろって。
とにかく、妹を守りたかったんです。」
「汚え奴らだ。許せねえ。
それで、、トミー、どうなった。」
「必死で二人にしがみついたんですが、結局ボコボコにされました。
僕、生まれてからケンカなんて、一度もしたこと無いんです。
悔しかった、今でも、、悔しいです。
僕が倒れていると、奴らは、、、。
でも、痛くて、、体が動かない。
その時、現れたんです、A6939が。
お前ら、、絶対に許さない!って叫んで。
A6939は、地下のメンテ施設でスリープモードで休眠中でした。
しかし、遠く離れた彼女には、P1169の声がしっかり届いていたんです。
A6939、本当に強かったです。
先輩二人を数秒で、、、。」
「死んだのか。」
「いえ、アンドロイドは人殺しは出来ない設定です。
それで、僕が奴らにあの薬を飲ませました。
全てを忘れ、何も考えられなくなる薬を。
ちょっと、いや、だいぶ、、多めに。」
「トミー、お前、以外と、容赦ないな。」
「妹に、、ひどいことをしようとした罰です。
多分、二人は薬物乱用者だと疑われるでしょうが。
仕方ありません。」
「それから翌日のP1169の件について話し、三人で逃げることにしたんです。
ファームのハンドガンで僕が脅され、セキュリティを無理やり通過させられる様子を監視カメラに映させました。
そして、施設の車を使って三人で逃げたんです。
それからは、知っての通りです。」
「逃げてる時、僕は疑問に思い聞きました。
どうして、姉妹なのかって。
そうしたら、二人はこう答えたんです。
私達、一緒にこの世界に生まれて来たって。
それまでは、二人とも何も無かった、ただの出口の見えない暗闇だった。
そしてムクが言うには、ミクの方が少し早生まれで、いろいろ教えてくれて、いつも優しくて、ミクの胸の音を聞くと安心するから、絶対お姉ちゃんだって。
それで、僕、分かったんです。
奴らが、いろいろ悪いことを企んで邪魔しても、絶対に壊せない絆ってあるんだって。
僕、妹、父さん、母さん、家族の絆も変わらず繋がってるんだって。
これが、あの日の出来事です。」




