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現代勇者協会の送迎係のおっさんは異世界帰りで元最強剣士 ーー知らない世界で病んじゃったので慎ましく生きる……予定でしたーー  作者: いくかいおう


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第6話 しんどいから仮眠するおっさん、林藤

 ダンジョンにはモンスターがウヨウヨ蠢いており、最深部には強力なボスがいる。

 それらを薙ぎ払った先に、コアがある。


 コアが破壊されダンジョンが消滅すると、ダンジョン内のものもすべて消える。

 故に、異世界の石やモンスターの体の一部を持ち帰って研究するには、ダンジョンコアを壊さないで保存しておく他ないのだが……それをやるとモンスターはガンガン復活するうえ、規模もどんどん広がっていくから厄介であった。


 夜22時。

 ツキホたちが攻略を開始して1時間以上が経過していた。

 ダンジョンから漂うマナを計測すれば、自ずと難易度は判明する。

 今回はBランク。あの子たちでも大丈夫だろう。


 この前のようなことがなければ。


「次の日曜、接骨院に行くべきか、スーパー銭湯からのマッサージにするか……」


 俺の休日は週に一度、日曜日にしかない。

 つまり体のメンテナンスとたまった家事、諸々の手続きやら自分へのご褒美を、すべて一日で済ませなくてはならないのだ。

 しかも完全に夜型人間になっているから、活動できるのは早くても日曜の昼過ぎ。


 しんどい。

 最近は手首が痛い。膝も痛い。腰も痛いし背中も痛い。なんか常に腹も痛い。

 最近はぐいーっと体を伸ばすと脇の下が『パキッ』て鳴るんだよね。なにこれ? ヤバい病気? 死ぬ? 俺、死ぬ? 脇癌?


 ダメだ、やっぱり次の休日はずっと家にいよう。

 皮肉にも金はあるんだ。飯は出前にして、足りないものはアマゾンで買っておこう。


 22時30分。

 アイマスクを装着して、助手席に畳んであったタオルケットを被った。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

※ここから三人称です。



 ツキホはリュウセイが嫌いだった。

 生理的に大嫌いであった。物理的な拒絶反応すら覚えた。

 だが、実力は認めている。ほぼ無制限に武器を生み出し、その扱いにも長けている。

 このパーティーのメインアタッカーに相応しい人材。


 アキラは好きだ。

 優しいし、真面目で、物事を冷静に対処する度胸もある。

 なにより話が合う。恋愛関係はないが、男ではなく人として好意的に思っていた。

 実力は……強い弱いでは測れない。彼のスキルは防御型。パーティーに欠かせないタンク役。

 残るツキホ自身は、サブアタッカー。スキルによって生み出した弓で援護射撃をするのが彼女の役割だった。


 仲は悪いが連携は取れている。

 Aランクくらいのモンスターなら倒せないことはない。


 昨日みたいなことがなければ。


「ひ、ひぃ!! おいアキラ、しっかり守れ!!」


「わかってる!!」


 ダンジョンの最深部、全長5mはある巨人を前に、ツキホたちは苦戦していた。

 強い。明らかに強すぎる。Aランクでもかなり上澄みのレベル。

 リュウセイの剣技ですら、かすり傷一つ付きやしない。

 巨人が拳を振り下ろす。アキラが張ったシールドが破られ、ふっ飛ばされる。


 壁に打ち付けられ、目を覚まさない。

 頭部からは血も流れていた。


「アキラくん!!」


「くそっ、お、俺は逃げるぞ!!」


「は!? 待ちなさいよ!! アキラくんはどうするの!!」


「そのタイプは奥を守ってるだけで人は食わねえよ!! 俺は行くぞ!!」


「血を流しているのよ!?」


「大丈夫だよ少しくらい!!」


 リュウセイが去っていく。

 彼の見立て通り、巨人は最深部への侵入を妨げているだけで、人を食べたりはしない。

 だが相対している敵には、徹底的に襲いかかる習性があった。

 つまり、まだ二本の足で立っているツキホは、巨人の攻撃対象だった。


「くっ」


 アキラを抱えて逃げようにも、その前に巨人を倒さなくてはならない。

 頭部の怪我の具合もわからないのに、見捨てるわけにもいかない。


 弓を放つ。しかし貫通するどころか、刺さりもしない。

 当たり前だ。メインアタッカーであるリュウセイですら損傷させることのでない硬い皮膚を、ツキホが貫けるわけがないのだ。

 一歩、また一歩と近づいてくる。

 おかしい、あの怪鳥といい、ランクに合わない敵がこうも連続して現れるなんて。


 巨人が拳を振り上げる。


 ツキホの脳内に大切な思い出が濁流のように押し寄せる。

 女で一つで育ててくれた母親。父親と思しき英雄。

 せめてふたりをまた会わせてあげたかった。


 巨人の殺気によってツキホが腰を抜かす。

 無意識に目をつむる。


「お父さん……!!」










「あれ?」


 攻撃されない。

 恐る恐る目を開けると、


「無事ですか」


 後ろ向きに倒れている巨人とリュウセイ。

 そしてツキホを見下ろす、林藤がいた。

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