第20話 とある蛮勇たち
※まえがき
今回は三人称です。
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23時15分。
とある埠頭にある空き倉庫にて。
「ミスリルカミツキガメがやられた!? たった一瞬で!?」
メガネの男が、部下からの報告に冷や汗をかいた。
最高硬度を誇る獰猛な怪物。勇者であっても傷をつけることすら困難のはずだった。
「い、いったいどいつらが……」
「勇者協会のスパイによると、ミスリルカミツキガメ討伐に出向いたのはSランク勇者、鬼刀切介とロンギヌス槍太、雷ゼウスの三名。Sランクのなかでも実力は中の上ほどです。19時に本部を出発し、20時に現場に到着」
「そいつらが、どうやって?」
「申し訳ありません。どうせ長期戦になるだろうと、スマホを取り出してSNSを開いていたら、ドンッという物音がして、視線を戻したらとっくに撤収していました」
舐め腐ったやつである。
「バカな……。彼らの戦闘データは把握している。彼らでは倒せないはずだ。だから実験として放ったというのに」
「もうひとり、誰かいたのでしょうか」
「そいつが倒したと? それほどの実力者が勇者協会にいると?」
メガネが脳内データベースを参照する。
彼は人類史上最も頭の良い男だった。一度記憶したことは永遠に忘れないし、一匹の蟻を観察しているだけで地球の裏で起こっている事件まで予測できた。
【頂上頭脳】それが彼のスキルである。
「この私が記憶している限り、そんな勇者は……」
「勇者じゃないな」
闇の中から、フードを深々と被った人物が現れた。
先日、魔王の遺体の一部を学校の屋上から投げた者であった。
「この前の計画を阻止したのも、勇者ではなかった」
「あぁ、貴重なパーツを失ったアレか……。そいつは何者だ。名前は?」
「……さあな」
メガネは頭痛を堪えながら、必死に記憶を掘り起こし続けた。
勇者ではない。しかし蛮勇にも心当たりはない。
スキルを持ちながらずっと潜んで暮らしているのか。
待て、ならば何故昨日学校で戦ったのだ。
十中八九勇者協会の人間で間違いないのだ。
例え新人であったとしても、勇者であればスパイが教えてくれるはずだ。
すると、
「なんでもいいじゃん」
倉庫の入り口から、茶髪のツインテールの女子が現れた。
生意気そうに飴を舐めながら、ニヤリと笑う。
「そのチームを襲えばわかることでしょ」
「九海……」
「さっさと勇者協会なんかぶっ壊してさぁ、作ろうよ。アタシらだけの王国を」




