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現代勇者協会の送迎係のおっさんは異世界帰りで元最強剣士 ーー知らない世界で病んじゃったので慎ましく生きる……予定でしたーー  作者: いくかいおう


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第11話 学校占拠① 寝不足のおっさん、林藤

 前回の終わりで休日だといったな。

 あれは嘘だ。


 嘘になってしまった。


 午前11時。

 遮光カーテンのおかげで真っ暗な俺の部屋に、スマホの着信音が響いた。

 社用携帯じゃない。プライベートの俺のスマホだ。こっちの番号を知っているやつは一握りしかいない。

 俺には家族も友達もいないからな。

 知っているとすれば同郷のやつ。


 そう、つまりは、


『おはよう、林藤』


「なんだよ千歳」


『くくっ、不機嫌だな』


「そりゃそうだろ。まだ3時間くらいしか寝てないんだよ。イタズラだったら容赦しないぞ」


 十中八九違うだろうが。

 チトゥス、千歳は高慢チキで女王気質で自己中心的な人格破綻者ではあるが、悪意だけで人の睡眠を妨げるような真似はしない。

 トラブルが起きたと見て間違いないだろう。それも、俺の手を借りなくちゃいけないほどの大事件。


「魔王の遺体の一部が見つかったのか?」


『かもしれない』


「あ? 要領を得ないな」


『テレビをつけろ』


 リモコンがない。どこやったっけ。

 トイレにあった。

 電源ボタンを押すと、ちょうどニュース番組が放映されていた。


「うお」


 映し出される中継映像。

 麻布十番駅上空に浮かんだ魔法陣から、一定の間隔でモンスターが飛び出していた。

 驚いた。モンスターやダンジョンの出現は、本来であれば一つ排出したら消えるはずだ。

 なのに消えていない。続々とモンスターを召喚している。

 仮封印が解けた? だとすればもっと大規模な災害になっているはずだが。


『とにかく、お前も討伐に加わってくれ』


「気持ちはわかるが……」


 残念だが俺の体内マナは割とカツカツ。

 長期戦はできない。それに、俺が戦えることが勇者協会にバレると、絶対に検査の末に異世界人だってことも明るみになるだろう。

 そうなると俺の平穏が、疲労が……。


「なんて言ってられないか。人の命が掛かってるんだもんな」


『大っぴらに戦わせるつもりはない。私としても、お前が協会本部の……この世界の人間の研究対象にされるのは避けたい』


「なんで?」


『この世界に不釣り合いな力を与えたくないからだ。スキルだって、本当なら目覚めてほしくはなかったというのに』


「じゃあ、どうしろっていうんだ」


『林藤にやってもらいたいのは一区画の制圧』


「制圧?」


『Aランクモンスター、キングゴブリンの群れがとある高校を占拠してしまった。穏便にことを済ませてくれ。お前にしかできないだろう?』


 ゴブリンは気性が荒い。少し怒ったりパニックになると無差別に周囲を攻撃して、暴れまわる厄介なやつ。

 なるほど、中途半端な実力者や大勢で攻め込めば、ゴブリン側も察知して高校生たちに被害がでる。だから俺が潜入して静かに全滅させるってわけか。

 長期戦になるな。マナが足りなくなっても知らないぞ。


『他の地区にもモンスターやダンジョンが出現して、人手が足りない。頼むぞ』


 こいつが俺に頼むってことは、本当にピンチなんだな。

 しょうがない。休日返上だ。


「この異常事態に魔王の遺体が関係しているかもってことだろ」


『あぁ、なんにせよ、まずは自体の鎮静を図らないとな。一応、Sランク勇者を一人同行させる』


「は? 単独任務じゃないのかよ」


『頼れる相棒になるだろう』


 Sランク、まさかリュウセイか?

 最近のあいつは紙面上では大活躍だから、Sランクまで引き上げられてもおかしくはない。

 うーん、ある意味ラッキーかな。あいつの武器創造は役に立つ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 現場に向かうために地下駐車場で車を拾う。

 さて、同行者もそろそろ来る頃だが。


「おっさん、おっつー。さっきぶり〜」


「うげっ」


 思わず声が漏れてしまった。

 まさかまさかの人選。ギャルトリオのピンク担当、ルイナが現れた。


 しかも何故かミニスカの制服。

 短い、スカートがほぼ意味をなしていない!!

 肉が見えている!!


「ふわぁ〜、ねむいね〜。んへへ、どうどう? まだ似合うっしょ」


「え、えぇまぁ」


「夏だともっとシャツのボタン外してたんだけど〜、まだちょっと寒いから」


「えっと、なんでルイナさんが……」


「だって、襲われてるの私の母校だもん。この制服も学校の。潜入するには申し分ない格好じゃない?」


「なるほど……」


 おい待て。

 そもそも同行者なんかいちゃマズイんじゃないか?

 俺がただのドライバーだってバレちゃいけないんだろうに。

 しかも、よりにもよって、この娘とは。


「ミワやシズクも他んとこで頑張ってっしー、ウチらも頑張ろ?」


「そ、そうですね」


 文句をたれている時間はない。

 運転席に座る。ルイナは助手席。


「じゃ、レッツゴー」


 ぐいっと、俺の左腕に抱きついてくる。

 胸が当たっている……。シンプルに運転しづらい……。


「はぁ……」


 もうどうなっても知らんぞ。

 俺は車のエンジンをかけて、ゴブリン退治に向けて出発した。

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