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出陣、ギルドマスター!  作者: あみーご
1.学園に通いたい!
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18/26

課外授業があるそうです



 次の日。まだ辺りも薄暗い早朝五時頃に目を覚ました俺。結局昨日帰ってこれたのは真夜中で、ちょっと夜食食べたり風呂入ったりしてたら寝るのが三時になってしまった。超眠い。死にそう。そして首が痛い。


 昨日の任務にあったキャッツオーン討伐はすぐに片付いたんだけど、問題だったのはやっぱり主の件でした。ちなみにボコボコにはされませんでしたよ。なんか俺の顔見た瞬間にコロッと怒りを収めてくれて、凄いフレンドリーにべらべら喋ってきて、延々とそれを聞いていた感じ。ぶっちゃけなに喋ってたか全然覚えてない。ボコられなかったのは良いけどアレはアレでキツイものがあった。


 つーか川の主ってサンショウウオのでっかい版みたいなやつで、上向かないと顔見れないからそのせいで首が痛くなりました。ドラゴンかよあいつ。



「……朝練、やんなきゃな」


 眠気と戦いながら一人言をこぼしてみる。昨日は登校初日だから休んじゃったけど、朝練は欠かしたことがないからね俺。習慣というかなんというか、もはや朝練しないと落ち着かない性質になってるわ。

 頑張って立ち上がり、ご飯に味噌汁の残りをぶっかけた朝食をかき込み、ジャージのズボンとTシャツに着替えた。朝ご飯のレベルが昨日と随分違いますねとか言わないで。こんなもんですよ、一人で食う朝飯なんか。食えりゃ良いんだよ食えりゃ。


 あくびしながら聖白へ転移したけど、転移した先のそこは誰もいない。珍しいな。



「あらあ!? マスターじゃない!」


 と思ったらタイミングよくマリムが現れた。マリムも短パンにTシャツにスニーカー姿で朝練に来たらしい。緩い三つ編みに赤いカチューシャは相変わらず。



「おはようマリム! 昨日の弁当超うまかった! ありがとな!」


「そう。そりゃあ光栄ね。また機会があったら作ってあげるわ。ていうかこんな早くに何してるの? まさか学生になってからも朝練やる気?」


「そりゃそうだろー。昼間は学校行ってるからこそ、朝練はしなきゃな」


「ったく、体壊さないでよね」


 大袈裟に呆れながら近付いてくるマリム。歩きながら銃を出す。



「さて。じゃあ手加減ゼロの手合わせでもしましょうか、マスター?」

 

 え? 体壊さないようにねとか言ったそばから?



「なーによ、その顔。あたしじゃ不満?」


「不満つーか、恐ぇんだけど」


「うっさいわね! さっさと始めるわよ! あんたが勝ったらアイス買ってあげるわ!」


「よし来い!!」


 腰を落とし、訓練所中に響き渡るくらいの声で気合いを入れる俺。こういうことしてるから隊員にチョロいとか言われるんだろうな。でも好物だからね。仕方ないよね。

 そんな思いだけで俺は剣を振るい、魔法を放つ。その白熱した戦いは一瞬の休みもなく続いた。




 そして二時間後。

 チョコミントのカップアイスをガバガバと口に放り込みながら着替えをする俺の姿がありました。


 勝った!!!! さすが俺!!!!



「いやもうほんと腹立つわねアンタ」


「ごちでーす!」


「ぶん殴ってやろうかしら」


 うわ。ほんとにぶん殴られそうだから大人しくしよ。

 そのあと部屋に帰った早々シャワーを浴びて、凄まじいスピードで準備を済ませる。それらに費やした時間わずか十五分。俺ってやるときはやるよね。でもあまりに急ぎすぎて時間はまだ七時半だ。聖白ギルドから直接登校した昨日と違って、今日は八時に部屋を出れば間に合う。


 なんたって! 今の俺は学生寮暮らしだからな!



「それにしても暇だな……」


 あまりに時間持て余したので、ボーッと悩んだ末にお弁当を作った。自分で自分のお弁当作るとかなんの面白味もねえな。そうしているうちに時間になり、部屋を出る。任務に行くときに戻した髪色を茶色に直すことも忘れない。これ忘れたらどうするんだろう。結構ヤバイんじゃないだろうか。


 なんてことを思いながら『そろそろちょうど良い時間かな』と玄関を開けると、そこには皆が勢揃いしていた。俺を待っていてくれたらしい。



「うおおおお!! 待っててくれたの!? お前ら超良い奴!!」


「ちょっと! 来ないでよ変態!」


 両手を広げて抱きつこうとした瞬間顔面を蹴り飛ばされました。ちょ、おま、ギルドマスターさんの顔蹴んなよ……。





──────





「お前らおはよう! 今日も朝日が眩しいな!!」


「先生。今日は曇りです」


 清々しいほど暑苦しいスティオール先生に、生徒からの冷静な突っ込みが入れられる。これは毎日の恒例なんかな。学生って大変だ。



「よーし! お前らもう知ってるかもしれないが、来週に課外授業としてギルド任務の体験実習があるぞ!」


 えっ、なにそれ。めちゃくちゃ楽しそうなイベントが来た。すごい学生っぽい。



「五人一組でやるらしいから放課後までに五人組作っといてくれ! いやあ素晴らしい! 課外授業って素晴らしい!」


 それにしてもほんとにこいつは全てにおいて素晴らしい連呼してて意味が分からない。こいつにかかるとなんでも素晴らしくなるようだ。きっとウンコとか見ても素晴らしいとか言うんだろうな。



「いいか、五人組だぞ! 二人組でも三人組でもなく五人組だぞ! 忘れるなよ!? 二人組でも三人組でもなく五人ぐ……」


「先生。そろそろ一限が始まります」


「なに!? そうか! では頑張れよ皆!」


 真っ白の歯を輝かせて去っていくスティオール先生。いや一限あんたの担当授業だからね。あと五分後くらいにまた会うからね。


 一限は数式学。スティオール先生は文法学の他に数式学も出来るらしい。秀才なんだか馬鹿なんだかいまいち分からない。そうか。きっとあれだ。文法学と数式学で脳ミソ全部使いきっちゃってるんだな。



「おいフィア。どうする?」


「へ? ああ、使いきっちゃったもんは仕方ないよな。でも数式と文法が出来るならいいんじゃね? 先生としては」


「は?」


「え?」


 ああ! 課外授業のことか! そうだよね! やっべ超恥ずかしい! なに言ってんだ俺!


 可哀想な人を見るような目をするアークに必死に言い訳をしていると、前の席のエリが鼻で笑いやがりました。


 鼻で! 鼻で笑いやがりました!


 大事なことなので三回も言いました。 俺の傷付いた心も知らずに、エリが椅子をずらしてこっちを向く。



「五人組だからあたしたち丁度良いでしょ。『どうする』って何のことよアーク」


「あ、いや。なんでもない」


 口ごもるアークとか珍しい。エリも不思議そうにアークを見るが、『なんでもない』という言葉を聞いてしぶしぶ前を向いた。それからやっぱり五分後にスティオール先生が戻ってきて数式学が始められる。心配してたよりは難しくなかった。独学つっても分かんないとこはエスカに聞いてたしな。エスカは頭いいし、教え方も上手かったんだろな。


 一限、二限と授業は進んでいくけど、問題なのはやっぱり魔法学。昨日と同じく四限目だった。緊張すんなー。爆炎のテストの続きだろうし、間違いなく俺の番も来る。ていうか、まだテスト受けてないのって五・六人だけだし。



「おい、フィア」


 みんなで実習棟に向かう途中、話しかけてきたアークによって皆から少し離された。



「どうした? あ、あれか。さっきの課外授業の件?」


「そうだ。フィアも参加するのか?」


「おう! 楽しそうだし!」


「そうか。なら気を付けろ。協力してくれるギルドは巣燕そうえんだそうだ」



 アークの言葉に固まる俺。おいおいマジか。もっとちっこいギルドが協力すんのかと思ってた……。


 ギルド・巣燕。そこは聖白と馴染みのあるギルドで、結構有名なギルドだ。ていうか馴染みがあるのは主に俺です。ギルドのリーダーであるアーサーとは結構会って仕事の話とかをする仲。まあ三十歳くらい離れてるけどね!!

 そんでこの男、もの凄く直感が鋭くて怖い。俺の猫被りもすぐバレた。おおよその年齢もバレた。そんなアーサーのいるギルドに行くとか! バレるわ! 絶対バレる! いつも会うときは仮面被ってるけど絶対バレる! アークの心配はこれだったのか……。



「フィア」


「ん? ああ……うーん。まあ、なんとかなる……んじゃねえかな」


「そうか?」


「なんとかするよ」


 話している間に実習棟に着いちゃったし。仕方ないもんな。あとで考えよ。

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