地下の真実
家畜、奴隷……、人々は古くからそれらを使って土地を切り拓き、領土を拡大してきた。
小さな壁の穴から眼下に広がる光景、それは人間が家畜となり、ただの労働力と成り果てた世界だった。
カーンカーンとあちこちで鳴り響く耳障りな金属音は、家畜たちが飼い主の領土を拡げるために硬い岩肌を掘り進んでいる音だ。
馬もいる。商人と共に消えた馬だろう。取り付けられた台車の上には、岩の塊が大量に載せられ、硬い地面でボロボロになってしまった蹄の脚を引きずりながらそれを運んでいる。
人々はまるで生ける屍だ。破れた衣服からのぞく手足は、筋肉質であるのに白く色が抜けており、全く生気がない分、どこか滑稽に映る。ただひたすら機械的に体を動かし、全てを諦めた後に残ったその表情は”虚”という言葉以外に当てはまりそうなものが見つからない。
「なんてことだ……。人をさらう目的はこれだったのか!」
「あぁ……、あのバケモンたちは20年かけて地下をここまでデカくしたわけか……。しかも人間を使ってな。とんでもねぇぜ……、こんなことが誰にも知られずにリューナの地下で起こってたなんてな!」
「いや、感づいていた者もいた。逆に加担している者もな」
スール橋の兵士のような末端だけでなく、国家の上層部にもそんな人間がいるとしたら、
「最悪だな……」
「あぁ。人間は100人以上はいそうだな。バケモンはその半数ってとこか? 奥にも空間が繋がってるみてぇだし、もっといるかもな……。しかし醜くてでけぇ奴らだな、シュタイラの剣がどこまで通用するか試してやろうじゃねぇか。全部ぶった切る前に刃が欠けちまいそうだがな」
ナイトの瞳がギラリと光る。
「血の気が多い奴め。だが数には勝てん。それに捕らえられている人間を巻き込む恐れもある」
「フン、狙うなら親玉をってやつか」
「こういう事に関しては察しがいいな。その通りだ。ただその先に関してはオレにもまだ見えてこない」
「ガレス、その前にルナを探さねぇと! まずいかもしれねぇぞ……、ここに女は必要なさそうだし、さっきの砂のバケモンの姿もねぇ。……おい、まさかあいつだけ食われちまったんじゃねぇだろうな!」
「……」
ガレスはこの部屋で意識を取り戻してからずっと、テレパシーでルナを呼んでいた。しかし、何の反応もないのだ。
「おい、ガレス」
「まずいのは分かっている。だがここから下手に動いて奴らに見つかったら……」
「でもルナはもうここにはいねぇんだぞ! ……おい、お前、大丈夫か……?」
「オレはルナの母親と約束したんだ。必ず無事に家に帰ると……」
「ガレス……お前……、!? 誰か来る!」
アーチ型にくり抜かれた通路から、何かを引きずるような音が聞こえてきた。
ナイトが剣を引き抜き、構える。




