表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/40

赤い糸なんて糞喰らえ!

「運命の赤い糸」シリーズ第二話目。男性視点です。

 俺はこの自分の小指に巻きついている糸の先が、どこに繋がっているのか考えていた。赤い糸が自分の小指に巻かれたのは、実は今回で二度目だ。

 あの頃の俺はまだ若くて、「運命の人」とか「永遠の愛」を何の疑問も抱かずに信じていた。だが、その運命の人であるはずの女性と出会った瞬間、現実はとても非情だと思い知った。


「何でもうすでに結婚してんだよぉ!?」


 そのときの自分は、女性の薬指に忌々しく光る指輪を睨みつけながら、ただ心中で嘆くしかできなかった。

 相手が最早、自分と結ばれることが叶わないと知った途端に、決して切れることのない赤い糸がほろほろと小指からほどけ落ち、そして地面に吸収されたかのように消え去った。

 その後、人気のないトイレに立てこもり、俺は一人でぶつぶつボヤいた。

「おかしいだろ! 縁結びの神様がそういう運命に決めたはずなのに、どうして相手は別の奴と一緒になっていやがる!」

 ――それは、相手には赤い糸が見えていなかったからだ。それで彼女は、自分の判断で他の男性を選んでしまった。彼女にとっては、その男性が運命の人だったんだよ。

 突然、頭の中に声が響いてきて、その今まで経験したことのない奇妙な感覚に、思わずびくっとしてしまった。

「……誰かいるのか?」

 ――いつもいるよ、君の中に。

「怖ぇよ!」

 ――ごめん、ごめん。でも神様はいつだって、全人類の幸せを願っているからね。

 その声は老人のしわがれた声のようにも聞こえたし、かと思えばまるで母のような包容力のある声にも聞こえた。

 ――神様というのはね、一度の失敗では挫けたりしない。どんなに大きな物事が失敗しても、その瞬間すでに次の手段を考え始める。神様は一番の努力家で、いつだって人間の幸せのために先を見据えて行動するんだ。だから、君もあきらめずに信じて頑張ってほしいな。人間が神様を信じるように、神様も人間を信じているんだよ。

「……嘘臭せぇ。神って何なの? 無能なの? てか、あんた誰よ?」

 頭の中の不思議な声は、静かに答えた。

 ――神の子です。たまに月下老人と呼ばれることもあるが……神様はただ闇雲に縁結びをしているわけではないよ。その人の先祖をたどって見ていってから、その先の子孫のことも見据えて、縁を結ぶんだ。だから必ず幸せになる……否、幸せに、なってください。頑張って。

 そう言って、声の気配が去っていくのが感じられた。ふと手を見ると、そこには新たな赤い糸が結ばれていた。だがそれは何だかだらんとしていて、糸の先にはまだ何も繋がれていないような感じだった。


To be continued.


※同人誌『うさぎの短編集』にも収録されています。

詳細は活動報告を読んでください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ