私の運命の人
最近スランプ状態ですが、思いついたので投稿しました。
全三話です。
この世には「運命の赤い糸」という迷信がある。何でも中国では「月老」という、現世の人々の縁結びを司っている神がおり、赤い縄の入った袋を持って現世に降り立つと、男女の足首に縄を結ぶ。決して切れないその縄が結ばれると、二人は必ず結ばれる運命にあるというのだ。それが日本に伝わった際、「足首の赤い縄」から「手の小指の赤い糸」に変化したとか何とか。
最近友だちから、縁結びの神様が祭られているという、小さな稲荷神社を紹介された。実際に訪れたは良いが、それは辺鄙な場所にあって、誰からも忘れ去られたような神社だった。
「ほら、そこにきつねさんがいるの! 見える? 可愛いよね!」
興奮気味にはしゃぐ友人には申し訳ないが、私には可愛い狐がどこにいるのかわからず、寂れた稲荷神社はとても不気味だったので、そそくさとその場を去った。当然、それ以来訪れたことはない。
私は普段、迷信を信じたりはしない方だと思っていた。しかし今現在、私の小指には赤い糸が結ばれているではないか!
どうしてこうなったのか一言で説明すれば、私もついに縁結びの神様に出会ったということだ。彼はにこにことした優しそうな老人だった。
お母さん、私にも春が来そうです。
でも一つだけ問題が……
「赤い糸、思い切り床にめり込んでおりますが!」
これはつまり、私の運命の人が現在、この下にいるというのか。だがそれは、果たしてどのくらいの距離があるのだろうか……今、私は高層ビルの四十五階にいるのだが、どうかこの糸が、マントルまで突っ切っていませんように祈るばかりである。
To be continued.
※同人誌『うさぎの短編集』にも収録されています。
詳細は活動報告を読んでください。




