赤い糸の行方
「運命の赤い糸」シリーズ第三話目。最終話です。男性視点。
小指に巻かれた赤い糸は、だらんとしたまま数ヶ月はそのままだった。その先には、誰もいない……ただぶらぶらとぶら下がった糸は鬱陶しいくらいだったが、そのうちに気にならなくなった。
だがそれが今日の昼頃、いきなりピンと天井に向かって引っ張られたため、俺はまわりに人がいるにも関わらず「うおっ!」と叫んでしまい、嫌でも注目を集めてしまった。それは本当にいきなりで、しかも凄まじい力だったため、一気に頭の上まで手が上がって引っ張られて、小指がもげるんじゃないかと思った……小指がないとか、やめてくれよ! 俺そっちの人じゃないから! 間違われたくないから!
強い力で引っ張られていた糸は、しばらくするとすっと力が緩まり、たるみができた。良かった、小指が切断されなくて……
さて、と俺はじっと天井を見つめながら、この赤い糸の先にいる人のことを想像しながら背筋がぞっとした。実は昨夜見た夢に非常によく似ているのだ。
よりにもよって、悪夢である。おかげでうなされて眠れなかった。夢の中で、俺はやはりこの赤い糸で小指を天井に引っ張られた。そしてその糸の示す人のもとへたどり着いた先にいたのは……
一度目は、老婆だった。さすがに無理だと狼狽した。
二度目は、男だった。俺にそんな趣味はないので、青ざめて逃げ出した。
三度目は、赤ん坊だった。この場合、ロリコンを越えてなんと呼べばいいのか。
四度目は、マネキンだった。最早人間ですらないと泣いた。
あぁ、神様。なぜ俺は相手に出会う前から、こうしていろいろ心配をしなくてはならないのか……その人が既婚者かどうかすらわからなくて不安だというのに、なぜそこまで想像しなくてはならないのか!
俺は天井にめり込んだ赤い糸の行方を凝視したまま、なかなか動くことができなかった。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。結局また、恋が始まらない関係で終わってしまいましたが(笑)
これでおしまいです。
最近スランプ状態に陥りまして、自分が今まで書いていたものがどのようにすればもっと良くなるか、考えてもわからなくなってしまって、書くのが怖くなっていました。今でもよくわかっていません。
リハビリがてら、たとえ拙い作品であったとしても書いていこうと思います。
ありがとうございました。
※同人誌『うさぎの短編集』にも収録されています。
詳細は活動報告を読んでください。




