ラーメンの先
「一羽の兎ワールド」第二段!
「ラーメンの先……それは先でありながら、一番最後に食べられる、運命!」
「うわーー!」
壇上の上で一羽のうさぎが演説する中、それを取り巻く大勢のうさぎたちが拍手喝采しながら興奮して叫んでいる。
「素晴らしい! 実に素晴らしいっ! これはまさに名言中の名言である! マタイ福音書の中にある『あとの者は先になり、先の者はあとになる』という聖句にも通ずる、今世紀最大の格言!」
「うわーーーー!!」
より一層大きな拍手が沸き起こる。一羽のうさぎは得意気に胸を張り、浪々と叫んだ。
「というわけで、うさぎうさ著『ラーメンの先』近日発売予定! 買ってね!」
「うわーーーー! うさぎうさ様ぁあああ!」
そして、うさぎうさは取り巻きのうさぎたちからサインやら握手やら求められ、その渦の中に埋もれていった。
お昼時、ある屋台のラーメン店にて。二人の人間と一羽のうさぎがラーメンを啜る。
「でもさぁ、何でラーメンの先なのかしらね? ラーメンの先……だけ?」
「ていうかさ、ラーメンの先っぽからでも食べられなくはないよね?」
「そもそも麺の先っぽってどっちだろうね?」
席についた途端、絶賛発売中『ラーメンの先』に対して、友人たちから散々に言われながらも、ただ淡々とラーメンを啜るうさぎうさ。
「先があるから、その反対は最後に決まっているじゃないでうさか。何でわからないのでうさかね?」
なおもぐちぐちと言い続ける友人たちの横で、ぼそっとつぶやくマイペースうさちゃん。
人間界に修行に来た一羽のうさぎの奮闘は続く。
「うさぎ界では大ベストセラーなのに、何で人間界では売れないでうさかね? おかしいでうさ……」
『ラーメンの先』
参考資料
マタイ福音書二〇章一六節より引用あり
※実際には発売されておりません。
※同人誌『うさぎの短編集』にも収録されています。
詳細は活動報告を読んでください。




