癒やしのバブリンちゃん
『お稲荷様の縁結び』の小話。
花ちゃんの意外な一面。
僕の名前は『バブリン』。ご主人様である花ちゃんのペンギンのぬいぐるみ。
今年で二十六になる花ちゃんとは、とても長い付き合いだ。それはどのくらいかと言うと、花ちゃんが生まれた三日後に、花ちゃん家の家族の一員になったというくらいに。
身体の大きさも花ちゃんとほぼ同じで、それから僕たちは一緒に成長していった…………というより、身体が成長したのは花ちゃんのほうだけれど、僕のほうだって、たとえ見た目は変わらなくても、中身は歳を重ねるごとに成長していったんだ。
今の花ちゃんは姉御肌だけど、本当に小さい頃、一歳半か二歳という年の頃は、少し引っ込み思案な女の子だった。
最初はなかなか仲良しの友達ができなかった花ちゃんは、僕を園に連れて行っては、僕とばかり遊んでいた。お部屋の隅のほうで、僕をずるずる引きずりながら歩く毎日。
そのうちに一人の男の子と仲良くなって、二人で遊ぶようになった――遊ぶと言っても、その男の子を従えて僕をずるずる引きずっていたんだけども――それがある日、突然その男の子が引っ越してしまって、花ちゃんはまた僕とだけ遊ぶようになった。ずるずる引きずりながら……
花ちゃんにはお裁縫がとても上手なおばあちゃんがいて、僕にほころびが生じたときにはよく治してもらっていた。おばあちゃんは他にも新しく、僕のお父さんとお母さん、それと、ガールフレンドの『バブリーヌ』をつくってくれた。おばあちゃんは花ちゃんが小三のときに亡くなってしまったけれど、今でもとても感謝している人だ。
花ちゃんは結婚して家を出ても、僕のことだけは手放したりせず、新しい家にも連れて行ってくれた。
大学生の花ちゃんが、学校から疲れて帰ってきて一番に向かうのは、旦那さんではなくて僕のところ。
「癒やしのバブリンちゃん」
そう言って、僕をぎゅっと抱きしめて、なでてくれる。旦那さんはそんな僕に嫉妬している様子なのだけれど……まぁ、そういうこともあるよ。頑張れ、大黒柱! としか今は言えないなぁ……
新婚当初は、一時的なものだろうから、そのうち旦那さんとも向き合ってくれるよ! と思っていたんだけどな? もう五年目なのに、これはないよね。
というか、この二人はどうして結婚したんだろうか、馴れ初めが気になるところだ。いつか知るチャンスが来たらいいな。二人に子どもが生まれれば、その子に語りきかせることもあるだろうし、楽しみだ。
どうか、いつまでも鹿間家の一員でいられますように。
バブリンってネーミングセンス(笑)
鹿間夫婦の馴れ初めはいつか……
※同人誌『三猿霊媒師』にも収録されています。
詳細は活動報告を読んでください。




