09 模擬戦
スコット君の剣の実力について聞くノルディカさん。
と言われてもスコット君は実戦経験などありません。
ならば試してみたくなるのがノルディカと言う人です。
「ところでスコット君は剣の方はどうだい?」
さすが王国最強の騎士と言われるノルディカさん。
闘いの話を持ち出さない訳がないですよね。
「師匠達と訓練はしてますが、他の人と剣を交えたことが無いので、どうと言われましても……」
そうなのです。
スコット君は卓越した能力を持っていますが、まだ未就学の子供。
実戦経験などありません。
「どうだい?私と一緒に騎士団訓練場に行ってみないかい?」
「え?いいの?」
そう言ってジロさんの顔を見ます。
一般人代表のジロさん、ちょっと困り顔。
「じゃあ僕が一緒にいきますよ。」
タイヨー君が手を挙げました。。
「私も行きますわ。」
ロキシー王女も手を挙げました。
「さて準備しますか。」
「そうですわね。」
紅炎様とユキ様が立ち上がりました。
「え?僕とロキシーで大丈夫だけど?」
「「トラブル防止の護衛です。」」
タイヨー君は信用がありません。
ましてやロキシー王女と2人……非常識な神さまが2人で出歩くなど危険極まりないです。
「私も行く!」
なんとフラックスちゃんまで手を挙げました。
そう言う訳で、アトミック王子が乗ってきた馬車に便乗させてもらいました。
王子様とスコット君に挟まれてフラックスちゃんはニコニコ。
向い側にはタイヨー君、ロキシー王女、ユキ様が座ります。
紅炎とノルディカさんは、それぞれ馬に騎乗です。
いつも乗っている行商用の馬車とは違う豪華な王族用の馬車に、スコット君もフラックスちゃんも興奮気味。
王城までの道を楽しんでいました。
でもそれ程遠い訳では無いのですぐに到着。
「もっと乗りたかったなー」
とはフラックスちゃん。
「今度は馬車で王都の外にでも行こうね。」
と、アトミック王子に言われてフラックスちゃん大喜び。
「約束だよ!アトミックお兄ちゃん!」
とニコニコしてます。
一同は王城に着くと、騎士団訓練場に向かいました。
訓練場はノルディカ副騎士団長が来るだけで緊張が走ります。
「少し場所を借りるぞ。皆はそのまま訓練していてくれ。」
ノルディカさんはそう言いますが、訓練中の騎士達は知っています。
一緒にいる紅炎と名乗る美形の男を。
彼は以前、ノルディカ副騎士団長と人外の模擬戦を繰り広げた武人だということを。
皆はササーっと場所を開け、観覧席に移動しました。
ノルディカさんと紅炎様とスコット君以外も観覧席に座ります。
すると、スミス王も話を聞きつけたのか、やってきました。
「アトミック、ロキシー、お帰り。今日はノルディカがジロ殿のご子息を連れてきたそうじゃないか。中々の剣の腕前と聞いているが……やっぱり子供だよな?」
「お父様、当然です。アトミックと同じ年なのですから。剣技の方は……まぁ見ていてください。」
ロキシー王女がそう言うと、訓練場では練習用の木剣がノルディカさんとスコット君に渡されました。
「それでは、とりあえず魔法の類を使わずに模擬戦を始める。ふたりとも準備はよいかな?」
紅炎様がそう言うと、ノルディカさんとスコット君は頷いて向き合い、礼をして木剣を構えました。
「では、始め!」
一瞬でふたりは間合いを詰めました。
そして繰り出される剣での猛攻。
周囲は驚きました。
ノルディカ副騎士団長は王国最強の騎士と言われてます。
それに対して一歩も引かず剣を打ち合う子供。
一進一退の攻防の末にノルディカさんが隙を見せました。
それを見逃さずスコット君が剣を突き出します。
しかしそれは誘いであって、攻撃をかわされたスコット君はバランスを崩してしまいます。
すかさずスコット君の首にノルディカさんは木剣を当てました。
「参りました。」
スコット君、ちょっと悔しそうです。
「これ程とはな!見事だぞ!そして負けを認めても尚燃える闘争心!気に入ったぞ!」
ノルディカさん、嬉しそうにスコット君を褒めます。
するとスコット君は嬉しそうに表情を変えて、
「ありがとうございました!」
と、元気にお礼を言いました。
訓練場からは一斉に拍手が巻き起こりました。
「話には聞いていたが……すざましい少年だな、スコット君は。」
スミス王が驚いています。
「本当に凄いですね!」
アトミック王子も自分の事のように嬉しそう。
でもロキシー王女が付け加えます。
「でも今はお互い魔法を使わずに戦いましたからね。魔法有りだとこれまた凄いですよ。」
これに驚くスミス王。
「魔法も使えるのか?」
「そうなのですが……また始めるようですね。」
訓練場では紅炎様が2人に聞いています。
「どうするかね。魔法有りでもう一戦やってみるかね。」
「はい!ぜひ胸をお借りしたいです。」
するとノルディカさんが獰猛な笑みを浮かべて言いました。
「その意気やよし!ここからはお互い全力だ。」
「私もやる!『木の扉』!」
観覧席に可愛らしい声が聞こえたと思うと木の扉が出現。
なんとフラックスちゃんが『木の扉』で訓練場に瞬間移動しました。
唖然とする一同。
「フラックスちゃんはいつの間に『木の扉』を?」
タイヨー君が驚いてライア様に聞くと、それ以上に驚いた顔をしているライア様が、
「フラックスちゃんにはまだ教えていないわ!あの子、見様見真似で『木の扉』を出現させてしまいましたよ!天才です!」
それを聞いて、さらに驚く一同でした。




